恐怖のジャバ

「LINEは危ない、スクリーンショットを撮られる」
「電話もダメだ」
「分かった。例のところで落ち合おう」
— ドーナツの穴 (@toby_net) March 18, 2017

「ツイッターは危ない、スクリーンショットを撮られる」
「ジャバッジャバッ」
「やはり、ツイッターは危ない」
— ドーナツの穴 (@toby_net) March 18, 2017

「待ったか」
「いや、今ついたところだ」
「ジャバッジャバッ」
「「ここも危ないようだな…」」
— ドーナツの穴 (@toby_net) March 18, 2017

「車の中で話そう」
「ジャバッジャバッ」
「ウワーッ」
— ドーナツの穴 (@toby_net) March 18, 2017

勢いよくドアを閉めた男は、自分の足がまだ外にある事に気が付いていなかった。「ギエーッ」と一声上げると、男はもう一度、ドアを閉め直した。

「すぐに車をだせ！どこも危険だ！」
— ドーナツの穴 (@toby_net) March 18, 2017

「ジャバはまいたか？」
「ジャバッジャバッ」
「おい！、すぐ後ろまで来ているぞッ」
— ドーナツの穴 (@toby_net) March 18, 2017

「沼津にセーフハウスがある。そこまで行ってくれ！」
「分かった。シートベルトを忘れるな」
「おい、おいおいおいおいおいお」
いきおいよく飛び出した男の車は、映画のカーチェイスのような動きを見せた。
— ドーナツの穴 (@toby_net) March 18, 2017

「ここは…沼津か？どうみても🏭に見えるが」
「俺のセーフハウスだ」
「なるほど、まさか🏭に隠れ家があるとは思うまい」
— ドーナツの穴 (@toby_net) March 18, 2017

「どこまで行くんだ？この🏭のどこに、セーフハウスが…」
「…」
「おい、相棒！」
「ジャバッジャバッ」
— ドーナツの穴 (@toby_net) March 18, 2017

おびただしい数のジャバ音が聞こえた。

「しまった。ここはジャバの生産工場…おい、大丈夫かしっかりしろ」
「ジャバ～ｼﾞｬﾊﾞｼﾞｬﾊﾞ」
「こいつはもうダメだ…」
— ドーナツの穴 (@toby_net) March 18, 2017

「ウッ、俺もジャバ音が聞こえる。もうダメだ…」

そういえば、と男は思い出していた。

「どこにいても同じようにジャバ音が聞こえる。おかしい…」
— ドーナツの穴 (@toby_net) March 18, 2017

「もしかして…」

男はズボンのポケットを探ると、ボタンの感触があった。
ズボンからとりだした紅いボタンは、ポストウェブ2.0の光沢を見せていた。
— ドーナツの穴 (@toby_net) March 18, 2017

「ジャバ、ジャバ」押すたびになるジャバ音。

「そうか。こういう事だったのか」

男は友人の結婚式のあとだったのだ。ぴっちりとした礼服。それが、引き出物の紅いボタンを鳴らしていた。
— ドーナツの穴 (@toby_net) March 18, 2017

男はもう一度ズボンのポケットに紅いボタンを入れた。
動くたび、鳴る紅いボタン。紅いボタンがスマートフォンだったならば、今頃はユーチューブの水圧プレス機による破壊動画のようになっていただろう。

不幸中の幸いだった。
— ドーナツの穴 (@toby_net) March 18, 2017

「さて、🏭の食堂で飯でも食べてから帰るか」
男は相棒（イマジナリーフレンド）に一声かけ、食堂の飯の不味さに落胆しながら、帰路へ着いた。
— ドーナツの穴 (@toby_net) March 18, 2017

『恐怖のジャバ』より抜粋
— ドーナツの穴 (@toby_net) March 18, 2017