武装ボランティア

「武装ボランティア」が各地をまわり、「罪」の大小を問わず容疑者を捕縛していく。 中には免罪の者もいた。留まることをしらない、とにかくやらねばと全国を動きつづける活動員ら。

— 小学ニ年生 別冊付録 (@toby_net) May 23, 2018

中には、休むこともままならず、人生の空白の時間を埋めるように突入していく者もいる。 義憤にかられるでもなく、「無償の奉仕」などでは説明が難しい者たちだ。

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未だマスメディアの力は衰えておらず、「ボランティア病」「奉仕という名の自己満足」 などという風潮もあった。インターネットでのコメント?ネットなど見るな。

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若者の間では、メンタルクリニックの受診があいも変わらずであったが、「ボランティア病ではないか」と初診で聞く者もいるという。などと書く精神科医の本は、新書コーナーに平積みにされていった。

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武装ボランティアの中には、「ジャバボタンはジャバを冒涜するものではないか」との声が上がり、独自で行動を始めるもの達がいた。

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活動員が個々に判断し、数名のグループで判断、行動することは珍しくない。当時、周りの活動員は気にすることもなかったようだ。

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ジャババババババッ!

廃墟に響くジャバ音。 武装ボランティアに追われる一つの影。影から発せられるジャバ音は、「奉仕の精神」への抵抗を表しているようだった。

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鳴り止むジャバ音。

「クソッ、バッテリ残量ゼロッ!」

影は、ジャバボタンのリロードを開始する。ボタンを覆うケースの一辺がハッチのように、半分ひらくと膨らみつつ射出された。

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「バッテリ死す。膨らみは死の兆候。あわやボタンごと発火の恐れあり。リロードッ、リロードッ!」

独特のなまりで、独り言を発する影。

「リロード完了。バッテリ不良ロット確認。予備のためボタンの無料ダウンロード開始する。」

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ダウンロードされたかはともかく、影のジャケット、逆さまの細長いポケットからは、スルリと落ちる新たな紅いボタン。

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ジャババッ! ジャバババッ!

二丁のジャバボタンから断続的にジャバ音が発せられる。

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一瞬の静寂。武装ボランティアらは諦めたのか、それともまだ影を付け狙うのか。

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『武装ボランティア』より抜粋

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