東京上空、春。突然にあらわれた巨大なティーポット。あらわれたときから回転を続けている。金曜夜は透けて見えた。また、夏にはガラスのように見え、集光されたのか公園が焦げた。
— ト (@toby_net) 2018年12月15日
梅雨明け宣言の次の日には、ティーポットはどろりとビルを包んだ。排水溝まで入り込んだ部位まであった。
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秋。ティーポットは周りの景色を映し出した。いつも眩しいネオンがより眩しく感じられた。回転は止まらない。
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冬には珍しくもない雪である。ティーポットはまるで猫かキツネのような純毛を備えていた。人工なのか天然なのか分からぬが、だれしも「本物」だと認めざるをえなかった。
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特に害がないまま数年が過ぎ、誰も気にならなくなっていた。写真をとるのは地方から来た若者やツアー団体であった。2038年まで続いた。
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2038年東京上空にいたティーポットは、とげとげしくあらぶった。しかも回転している。手前の素材が裏に突き抜け、注ぎ口はフタより巨大化することもあった。あげくに、回転は上がり続け、それは週末まで続いた。
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巨大なティーポットは消えた。2038年という数字は、情報処理や計算機を信仰するものにとって、まるで予定通りのようであった。チャンネルのゲストコメンテータは元情報科や工学部で埋め尽くされた。
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コメンテータの一人の中、フードを被った者は、ティーポットのありか、彼/彼女がいうには転送先であるという、をうったえていたものがいた。しかし、すでにないものを人々が忘れるのは早かった。
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出演の依頼もこず時間ができたフードの者は、いつもの業務に戻っていた。すわったまま、いきおいよくデスクに方足をのせると、「ジャバ」と検索。ダウンロードサイトだ。
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あなたとジャバ。そこには、見事なティーポットが回っており、しかも巨大、何かのダウンロードを阻止するかのようであった。
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『ユタの窓』より抜粋
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