「無
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題」(2038, 作者不明)とタイトル付けられた紅い物体。
「無題」ならば考える余地があった。しかし目の前に鎮座する物体は「無
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題」と名付けられている。
紅い「無
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題」には、そのタイトルと裏腹に、物体そのものに可読性のある文字列が刻まれていた。
"無料ジャバのダウンロード" などと、白色に刻印された紅い物体。題なき作品とは思えなかった。
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あなたは、だんだんと腹が立ってきていた。
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「これが "無題" だって?」
思わず口にだすほどだった。
あなたが展示物にも関わらず、紅い物体に蹴りをいれた。バイン。思いがけず、反動があり、思いがけず、「ジャバ」とは鳴らない。
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物体を蹴り上げた反動でよろめくあなた。後ろには、倒れそうなあなたを支える者がいた。 あなたの体をガッチリとホールドすると、その者は言った。
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「お客さま。どうなされましたか。」
作品を蹴ったことに「しまった」と思わず、表情にでてしまうあなたであったが、見られていないであろう事を前提に、答え始めた。
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「作品にジャバとの刻印があるのに、"無
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題" などと、書かれていてつい…。」
言い訳にもならぬ口実がつい、口から出てしまった。
「お客さま、どういうことでしょうか。」
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「ですから、そちらの紅い物体が…」
言い終わらぬ前に、目の前の係員はタイトルのラベルをはがし始めていた。
「お客さま? このラベルは、お客さまが見たときには貼られていたのですか? 」
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「い、いえ、違います! 」
動揺したあなたは、思わず自分のせいにされたと思い込み、否定してしまった。
「…? お客さまが貼られたということでしょうか?」
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「あ、いえ。…気がついたときにはありました。それより…」
「それより?」
「今はがされたラベルは何なのですか。"無
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題" とは一体…。」
「お客さま、私どもにも分かりかねます。誰かのイタズラでしょう。こういうことは、ままあるのです。」
「イタズラって…。 では、そこの紅いボタンのような作品は…?」
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「お客さま。作品ではありません。ジャバボタン型のベンチです。当店では、いくつかの休憩スペースに設置されております。」
あなたはようやく腑に落ちていたのか、ため息がでた。あなたの表情をみて、緊張が解けたのか、係員もよりニッコリと微笑むと、語りかけてきた。
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「疑問は氷解されたようですね。では、ごゆるりとご滞在ください。なお、ジャバボタン型のベンチの一つは、座るとジャバ音が鳴りますので、時間がおありであれば、ぜひお探しください。」
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係員は語り終えた。そしてゲリラ的に貼られていた「無
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題」というラベルを握りつぶすと、去っていった。
あなたは、まだ完全には剥がれていない(両面テープで貼られたような)ラベルの跡を眺めながら、ジャバボタン型のベンチにゴロリと横になると、再度ため息をついていた。
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「ジャバ音なるやつ(ベンチ)、本当にあるのだろか?」
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次の瞬間、背中の下から「ジャバ」と聞こえた気がした。
『無題』より抜粋
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異世界転生したものの、誰もジャバボタンについて聞いても、知らない。(今世界)
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