ジャバの旅路

「結婚しないの?」 「彼女と?」 「しない?」 「結婚?」

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「彼女、国籍が不明でさ」 「不明」 「そう国籍が不明」 「国籍」

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「国籍が不明の国籍不明?」 「違う」 「単なる国籍不明?」 「未知の国籍不明」

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それで、と、今度、結婚するらしき人間は本題へと家事を切った。帰って洗濯物を干さねば。洗濯槽に入れたままだ。 「でさ、本当に国籍不明か信用できなくてさ」 「そういうの大事だよね」

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「本当に国籍不明かわからないとさ、不安だよね」 「わかる」 「眠れなくならない?」 「わかるけど、ならない」

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尻小ボールを1024個あつめると、胃腸の調子がよくなるという。 「うそくさい」 「何が?」 「『国籍不明』」 「だよね、いまいち信じられない」

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マクドナルドの女子高生が電車の中で席を譲った。すると、オタク専用車両から失礼したロン客が…… 「それで、今度、世界中を巡るんだ」 「女子高生と?」 「彼女と」 「それはいい。つまり?」

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「彼女が本当に国籍不明か確かめる」 「いいじゃん……マジで?」 「どっちだよ」 「どっちも」

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〝いいじゃん〟 か 〝マジで〟 どちらかを取り得るデータ構造です。 「代数的データ構造?」 「それで、彼女の国籍不明が証明されたら」 「結婚すんの?」 「合ってると思う」

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「代数的データ構造で?」 「そう」 「いつ出発したの?」 「何で分かったの?」

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「あなたの彼女だから」 「そうだっけ」 「そしてここは熱海」 「それに国籍不明じゃない」

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尻子ボールを65535個…… 「尻子玉はいいから」 「言っちゃったね?尻子玉」 「国籍不明って誰?」 「あなた」

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「ジャバの話はもうたくさん」 「まだそんなことって、一言も言ってない」 「そんなことって」 「ジ……ひどいな、国籍不明よりひどい」

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「この話も、あなたとジャバなんでしょう?」 「いや、そんな……」 「今すぐ、ダウンロード」 「ごめん、わるかった。機嫌治してくれ」

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「旅行中くらい、ジャバの話を投稿するのは辞めて」 「いや、これは、きみがしてるんじゃないか」 「私はしてない」 「じゃあ、誰が……」

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「もしかして: 『あなた』?」 「おれ?」 「『あなた』」 「ぼく?いや、違うよ。『あなた』でしょ」

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「……『あなた』ね」 「なんだ……『あなた』か」 「それならそうと」 「もっと早く気がついていれば」

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「じゃ、行こっか」 「そろそろ、夕食だしな」 「めしーめしー」 「そういうところ嫌い」

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「ディナー、ディナー」 「あなたとディナー」 「(苦笑)」 人間たちはエレベーターへと消えていった。 『ジャバの旅路』より

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