「ザリザリ…ザザザ……ゲットマイ…ザザ…ナンバーコムで…ザリザリ…マイ…ザザ…ナンバーを無料でダウンロード!…ザザザ……今すぐ、アクセス!…ザザ…」チャブダイラジオに高出力のイホ電波が混ざる。男は眼を開けた。ここは?──スゴイヤスイソフト社の一時休憩コーナーである。
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2015年10月23日
「オハヨ」「アッ、ハイ」モヒカンパンクスやユーレイゴスの若者が次々に薄汚れたビルに吸い込まれていく。
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2015年11月24日
スゴイヤスイソフト社。ここは地方のプログラマーのセーフティネットめいた役割を果たしている。有り体に言えば誰でも採る。結果として、ワケありのデベロッパーが集まるのだ。
「カンブリ、ICMPエコー反応ありません!」「アイエエエエ!ネットワークダウン!?ナンデ!?」出社直後のエンジニアが騒ぎ出す。スゴイヤスイソフト社では、サーバ名は寿司のネタから命名することになっている。カンブリとはすなわち基幹サーバ1つである。
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2015年12月27日
「アー、自然の太陽光を受けたソーラーパネルから生成される電気を使って充電したiPhone 6sは良い音が出ます。アアー、イイ……オット、、あなたも充電?どうですか?」「あ、いえ…某は間に合っていますンで…」他愛のない会話が響く。ここはスゴイヤスイソフト社の休憩コーナーである。
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年2月2日
「こ、これはアッ、sineカーブだああああ!美しい…!ヒンシツは発散している!あああっ!」
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年2月24日
朝から甲高い叫び声を上げるベテランの社員。ここはスゴイヤスイソフト社のヒンシツアンシン課である。男は声をかけるべきか思案したが、やがて決心したように側に行った。
「プリパラ神回だヤッター!」ここはスゴイヤスイソフト社の社員食堂。突然立ち上がった男に周囲の社員数人が怪訝な顔を向ける。「アッ、スミマセン…」男はばつが悪そうに静かに着席すると、再びスマホ・ケータイのディスプレイに見入った。
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年2月29日
『いつもお世話になっております』
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年3月2日
「気持ちがこもっていない!もう一回!」
スゴイヤスイソフト社の朝礼ではアイサツを評価するおくゆかしい文化が残っている。
『いつもお世話になっております!』
「気持ちだ!気持ち!」
『フ⚪︎⚪︎ク!フ⚪︎⚪︎クオールエネミーズ!』
「よし!」
「アー、報告書書きます…良いです」男はスゴイヤスイソフト社のイノベイシヨン部にエントリーするとそう呟いた。顔の半分を覆うのは残業とショドーされた禍々しいメンポ。あからさまにニンジャである。
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年3月18日
「進捗、どうですか?」
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年3月27日
「進捗、どうですか?」
オフィスに開発者サンが次々とエントリーする。これはスゴイヤスイソフト社の月曜日の挨拶である。もともと進捗会議が多い月曜日に社員の意識を高めるため始まった習慣と言われているが、今となっては定かではない。
「進捗ダメですなぁ…」
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年3月28日
「いやぁ、進捗ダメですなぁ…この後、どうですか一杯?」
「おっとっとタマリマセン、、行きましょう」
スゴイヤスイソフト社のマネッジャクラスが帰路につく傍ら、シンチョクルームから解放された男はその場に倒れ込み、しめやかに失禁した。
「節電にご協力を」とショドーされた貼紙。ここはスゴイヤスイソフト社の茶室である。男はコーヒーマシンからコーヒーが落ちてくる間にそれらを見つめた。「照明を消す」「エアコンを消す」「PCを消す」「おまえを消す」と実に細かい規則があるらしい。ん?最後のは?──男の意識はそこで途絶えた。
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年4月2日
「ジジ…ジャバを集めて…ザリザリ…キミだけのアンドロイ、ヨを作ろう!…ガガッ…ザリザリ…今ならSSR サンジャバ貰え…ザリザリ…」
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年4月6日
社内放送が高出力の違法電波を受信する。ここはスゴイヤスイソフト社の休憩ルーム。男たちが無気力に横たわっている姿はさながらツキジのマグロめいている。
「良き実装というのは…」ここはスゴイヤスイソフト社の茶室。チャを啜りながら7人の漢たちが勉強会を行っている。そこへ──「はやくプログラム上げろッコラー!イヤーッ!」「「アバーッ!」」マネッジャサンがスリケンを投擲しながら乱入!2名が…おおナムアミダブツ!
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年4月6日
「巫女さまがORAエラーを出された。一体どうしたんじゃ…!?」「俺は知っている…最後に触ったのはアイツだ!」「アイエエエエ!何もしてません、本当です」
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年4月14日
若いエンジニアが取調室に連行される。スゴイヤスイソフト社。今日もいつもの光景だ。
神棚に酒と米を備える男。周囲はミルキーウェイギャラクシーめいてグリーンやレッド、ブルーの光が点滅を繰り返している。ここはスゴイヤスイソフト社のサーバールーム。殆どの機器は雲の向こう側へ行ったがこの古めかしいサーバラックは未だ圧倒的な威圧感を放ちながら鎮座している。
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年4月20日
「アー…サーバーちゅん…おはよう…今からアップデートするね…すぐ良くなるよ…待っててね…アー」
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年4月30日
ここはスゴイヤスイソフト社のサバ室。極彩色のLEDボンボリが照明もつけずに作業している男の頬を照らす。雲王国に行けなかった機器はこうした保守が必要なのである。なお、男の眼は虚ろである。
「プログラミングにもリズムが必要です。アー、いいですか?ご一緒に…ウェイ・チンポ・ソイヤ」
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年5月26日
「「「ウェイ・チンポ・ソイヤ!ウェイ・チンポ・ソイヤ!」」」
「兵隊を育てるのにリズムなんてのは要らねぇんだよ…」
男は眠たげな眼でスゴイヤスイソフト社の新人研修の風景を見つめた。
「お先に失礼します?日本人はそんなこと言わない。月が綺麗ですね、と言いなさい。いいね?」「ハイ!センセイ!月が綺麗ッシタ!」
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年7月19日
スゴイヤスイソフト社の師弟制度は厳格である。師に挨拶をした男は飛び出すようにビルを出て、帰路についた。頭上では髑髏めいたフルムーンが笑っている。
嫉妬裏切絶望後悔憎悪残虐死死死死…嫉妬裏切絶望後悔憎悪残虐死死死死… ブブーンブ…ブブブ…ブブーンブ…ブブブ…。陰鬱な環境デス金属ベース音が響き渡る。ここはスゴイヤスイソフト社の休憩ルーム。この時間はザンギョフードを食べている若者やニュービーの姿が多く見られる。
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年8月25日
ここはスゴイヤスイソフト社の面接会場。
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年10月5日
「キミ、デスマの経験は?」
「で、デスマ!?ア、ア、アバババババ!!オゴーッ!」
嘔吐!ブッダ!何らかのトラウマを刺激したのだ。
「アー、イイネ…採用。」
死んだ顔の社員が増えていく。
「おはようございます!」
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年10月31日
「アアーイイー」「…アアーイイー」「アアーイイ…」
小学生の挨拶も無視し土色の顔をした人間が次々と薄汚れたビルディングにエントリーする。これは政府が極秘裏に実験中のゾンビーウィルスに感染した──否、スゴイヤスイソフト社に通勤する社畜の行列である。
「フラグを下ろす…ポッキーを折る…フラグを立てる…ポッキーを立てる…フラグを下ろす…ポッキーを折る…フラグを立てる…ポッキーを折る…アー…これバクだァ…ァァ…バクだァ…」
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年11月11日
ラップトップコンピュータに向かい何らら独り言を繰り返す男。ここはスゴイヤスイソフト社 4Fの開発部である。
「へへっ、ダンナ、いいエディタあるよ…」「実際ヤスイ人月単価!ご相談無料!」「アー、掘り出し物のフロッピーディスクドライブです…」
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年11月11日
スゴイヤスイソフト社へ続く裏路地では朝のブラックマーケットが開催中だ。ジャンク品、自作ソフト、ジャンクプログラマーなどが非合法に"売られて"いる。
「ハッキョイ!…コータ!ノコータ!…ザザザザ…これはー!…ザリザリ…ブレーンバスターだぁ…ザザザザ…大穴確定!」
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年11月21日
スマホケータイが高出力の違法電波を受信する。しかし男は座して天井を仰ぎ見たまま壊れた浄瑠璃人形のように微動だにしない。ここはスゴイヤスイソフト社の社員食堂である。
「ようこそ、スゴイヤスイソフト社へ。我々は貴殿を歓迎すブッ」
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年11月22日
吐血する男。回収班が速やかに飛んでくる。
「ボーナス出ないけど鼻水は出る…アアッ…♪ボーナス出ないけど鼻水は出る…アアッ…♪」「ダマラッシェー!」「ザッケンナコラー!」「アイエエエエ!」
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年12月15日
怒号が飛び交うスゴイヤスイソフト社の休憩所。ここには談笑している者などおらず、死んだように仮眠を取る者かイカれた者しか来ない。
「殿はご乱心じゃゲーム!」「「ウェーーイ!」」「殿は」「ご乱心じゃ」「殿は」「殿は」「ご乱心じゃ」「とにょは」「アウトー!」「ウェーーイ!」
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年12月15日
朝帰りの無軌道大学生が真冬の川にダイブする音を聞きながら、男は薄汚れたビルディングにエントリーした。入口にスゴイヤスイソフト社のショドー。
人売り始めました!スゴイヤスイ人材!などと極太明朝体でショドーされた清涼感の漂うノボリを尻目に男は薄暗いビルディングに吸い込まれていった。頭上に輝くスゴイヤスイソフト社──社名のネオン看板──が火花を散らした。
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2016年12月20日
「今日はフェアリルダッシュの日だ今日はフェアリルダッシュの日だ今日はフェアリルダッシュの日──か?」
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2017年1月10日
スゴイヤスイソフト社、3階。チューオー会議室。昼休みにもかかわらず、男は病気めいた痙攣を繰り返しながら会議机に突っ伏していた。
「俺、この仕事が終わったら、スゴイヤスイソフト社を退職しました、ってブログエントリーしてよ、そんでよ、アバッ、」「ドシタンス!大丈夫ス!?」
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2017年1月18日
不吉な会話しか聞こえないバックヤードを通り抜け、男はサーバルームにエントリーした。
「スゴイヤスイソフト社を退職してヨォ…そんでヨォ…小さくてもあったけぇ地元の、スシバーを開業するのが俺の夢で…」
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2017年1月25日
彼はキンユ・プロジェクトへ売られる事が決まっている。おおブッダ、寝ておられるのですか!?
「もし貴方が顧客から無理難題を言われたら?」
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2017年2月7日
『検討させて頂きます』
「営業からだったら?」
『無理です』
「では上司からだったら?」
『アッ、ハイ』
「オーケー、君は人間だ。しかし心療内科を受診するように」
『アッ、ハイ』
スゴイヤスイソフト社の定期アンドロイド検査である。
「俺、スゴイヤスイソフト社を退職したら、格安の払い下げ国有地買ってよぉ…そんでヨォ…小さくても暖かいスシバーをやるんが……COFF!! COFF!!」
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2017年2月23日
「ダイジョブスカ!?ドシタンス!」
哀愁漂う会話が聞こえる喫煙所を通り抜け、男は裏門からスゴイヤスイソフト社の敷地を出た。
「アー、ザンギョ?ほぼありません。月平均2時間くらいじゃないですかね…クリーンな職場です…アー、イイ…」
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2017年3月1日
血色の悪いスゴイヤスイソフト社の採用担当者は早口でそう答えた。しかしこれは欺瞞である。ザンギョはない、いいね?
「疲れた貴方にはコレ!バリキドリンク!複数の有効成分が実際よく効きます!」「アッコラー・・・?」
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2017年3月24日
キャバーーン!!
男は最新自動販売機のAIによりサジェストされたバリキ含有ドリンクを無視して「コーヒー良い濃いめ」を選ぶ。ここはスゴイヤスイソフト社の休憩ルーム。この時間は貸切だ。
「アー、ウインドーズXP、LAN直結…はるかに良い……ランサムウェア??大丈夫です、不審なメールは開きません。安心です…アバーッ!!」
— (゚ロ゚)キェェェェ (@el_syncy) 2017年5月24日
ウインドーズXPをLAN直結しようとしたVB6カイハツシャサンの額にスリケンが刺さる!!スゴイヤスイソフト社のセキュリティチームだ!