成功は失敗の父なり
— ⌀ 22mmの円柱状の空洞 (@toby_net) June 13, 2017
「失敗は成功の母」ならば、父は誰だ。「成功」は非嫡出子の可能性もある。 もしくは無性生殖。いや、実は「成功」は「失敗」のクローン体だが、環境や経験により全く別の結果がもたらされ、成功に至った。
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当初、息子のように育てたクローンであった。成長を見守るうちにメキメキと頭角を現す。ついに成功していく。 元は同じなのに、なぜ息子だけが成功を？と疑問と嫉妬が失敗の頭に渦巻く。そして、失敗は倫理に欠ける行動にでる
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今日は成功の誕生日である。失敗は息子の成功へ、紅い包みを渡した。
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成功「母さん、これは…」
失敗「開けてみなさい」
成功が包みに手を掛けると、それはジャバリと開いていく。
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成功「…これは紅いボタン」
失敗「あなたの父のものです」
成功「！？ …母さんは、反生殖主義ではなかったんですか！？」
失敗「あんなやつと一緒にしないで」
成功「『あんなやつ』って。 では父さんは反生殖主義の方ではないと。ではどこに」
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失敗「ここにいる」
成功「そ、そんな。。。」
成功「その通りだ。私は母でもあり、父でもあるので。」
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失敗「20年近く、居ないと思っていた父と暮らしていたなんて。”あるので” ？」
成功「母さん、でなく父さん？ ではお聞きします。」
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失敗「母さんと父さん、どちらでもありうる。どうぞお聞きなさい」
成功「この紅いボタンは、父さんの形見でもなく、単なるジャバボタンなのでは」
失敗「そう、あなたとの会話のきっかけにすぎない」
失敗「ジャバは会話の潤滑油なのです。有機モリブデンを使用しており、高温、高プレシャーのような過酷な環境に適し、長期間の運用にも向いている。つまりジャバとは…」
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（言葉をさえぎるように）
成功「ジャバのことはもういいです」
失敗「…ジャバ活とは言うならば、ジャバとは何なのかを追求する活動そのものであり…」
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成功「ダメだ。母さんと父さんがおかしくなった。いや元からそうだったのかもしれない。」
成功は、「父さんと母さんが同一人物ならば、両親がいるにも関わらず、夫婦喧嘩がおきようはないだろう」とポジティブに考えると、倫理の欠けた家庭を抜け、研究室へと向かった。
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成功の居ない部屋で、失敗は考える。いつの日か自分のクローンである事を明かす日がくると。成人式の日に明かそうと思っていたが、成功は「別に出る必要ないし」と式に出なかったため、言いそびれてしまっていたのだった。
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『成功の母と父、そしてジャバ』より抜粋
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