【ここにスマートデバイスを廃棄しないでください】
— トビーネット (@toby_net) 2019年6月24日
看板には、黄色く巨大なテキストのシールが貼られていた。 条例により、景観を損なうことをゆるされない看板ではあったが、それを上回る廃棄物の前には誤差であった。
山のように連なるデバイスは、30億はありそうであった。数えてはいないので、「ただとてつもなく多い」という意味である。
— トビーネット (@toby_net) 2019年6月24日
日がなウイウイーンと施錠解錠をくり返すスマートロック、充電ステーションをさがしタイヤを空転させる自動掃除機。おそらく、最近捨てられていったものだろう。
— トビーネット (@toby_net) 2019年6月24日
いくつかの自立駆動可能なデバイスは、廃棄の山を脱出するようだった。 いずれも、意図しない高さの段差から落ちる、バッテリーが尽きるなどしていた。
— トビーネット (@toby_net) 2019年6月24日
中には、運よく通った旅行者に拾われていくデバイスもいたが、型落ち、バッテリー劣化も激しく、別の場所に再廃棄されるのがせきのやまだ。
— トビーネット (@toby_net) 2019年6月24日
そのデバイス墓場とも言うべき場所で、見かける人物がいた。「ジャバ仙人」などと名乗っている。まるで「インターネットの名前だな」と口に出そうになった。悪気はない。ただ自分が昔のネットを忘れられないだけなのだ。
— トビーネット (@toby_net) 2019年6月24日
そのジャバ仙人なる者は、動いているか否かに関わらず、デバイスを拾い上げると声を発していた。「これ、ジャバだ」、「これジャバじゃない」、はたまた「ノットジャバ!」と叫ぶ様子も見られた。
— トビーネット (@toby_net) 2019年6月24日
ジャバ仙人は、いくつかデバイスを拾い集めては持ち帰っているようだった。もしかすると、修理して野生に返しているのかもしれない。
— トビーネット (@toby_net) 2019年6月24日
野生に返せず、デバイス屋敷のようになっているのでは、など様々な想像をふくらませながら、私はデバイスの集積所を去った。
— トビーネット (@toby_net) 2019年6月24日
『ここにスマートデバイスを破棄しないでください!』より抜粋
— トビーネット (@toby_net) 2019年6月24日