「ジャバがダウンロードできない…」突然の独白。 左の男は椅子から転げ落ちた。右の女は水筒に肘をぶつけた。デスクを挟んだ前の人間はディスプレイに何かをぶつけたようだった。チャット中の相手は退出。電話を首に挟んだ上司は、声を止めたと同時に、もっていた焼きそばを流しにぶちまけていた。
— メンター (@toby_net) January 24, 2016
一対の椅子が転げて、落ちていた女の水筒にぶつかった。目前の人間から聞こえていたいびきは止まっている。チャット中の相手は帰ってこない。静かなフロアに上司の「アツッ」と言う声が響いた。
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「俺の焼きそば…」
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「あ、いえ、スイマセン、ハイ、ハイ、その件についてですが…」静寂の中に、案件情報のみが伝わる。
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「す、すいません、ダウンロード済みでした。ジャバありました」止まっていた時が動き出した。
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左の男は女に会釈をしつつ椅子を掴み上げた。腰は打っていないようだ。女もまた会釈をし、水筒を拾い上げた。蓋は開いていたが、幸いなことに中身はなかった。チャットの相手のステータスは、いつの間にか「入力中…」となっている。
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上司はと言えば、電話を肩と首ではさみながら、水をジャバジャバと指に流している。ほんの少し赤く、ージャバボタンほどではないがー、ほんの気持ちほど腫れた指をいたわっている。
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排水口に半分は食べられてしまった焼きそばからは湯気が上がっていた。流し台が片付けられるのは、お客さんからの電話が終わった後になるのだった。 『ジャバ失敗事例集』より抜粋
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