仙人と母

「母さん、この Amazon と描かれた箱は何なの?」
「それはね、何でも配達してくれるお店なんじゃ。そのお店、昔は本屋をやってての。わしの若い頃は…」
「配達してくれるのは、配達やさんじゃないの?」
「…その頃は、ジャバが無料だったりのぉ」

— 一斗缶ビルダー (@toby_net) 2016年12月29日

「母さん、どうしたの?ジャバって何?」
「今すぐダウンロード」
「どうしたの?ねぇ、母さんを返して!」
「この紅いボタンを押すのじゃ…」

— 一斗缶ビルダー (@toby_net) 2016年12月29日

ジャバ… ジャバ…

    ジャバ…ジャバ…

— 一斗缶ビルダー (@toby_net) 2016年12月29日

「ジャバジャバ言うだけじゃん!母さんは!?」
「フフフ、これでダウンロードは完了じゃ」

— 一斗缶ビルダー (@toby_net) 2016年12月29日

「タケシ、ワタシのタケシ…」
「母さん!……じゃないッ!声真似はやめろッ!」

— 一斗缶ビルダー (@toby_net) 2016年12月29日

脇腹にタケシの一発を喰らった仙人風の人間は、膝をつき、そのまま前のめりになり倒れた。結局、タケシの母は買い物に出かけており、夕方に帰宅。仙人風は通報をうけ駆けつけた警官らによって、引きずられていった。

— 一斗缶ビルダー (@toby_net) 2016年12月29日

後から聞いた話では、拘留されていた仙人風はいずこかに消え去り、その後姿を見たものはいないということだった。

— 一斗缶ビルダー (@toby_net) 2016年12月29日

聞いた?(誰から?)

— 一斗缶ビルダー (@toby_net) 2016年12月29日

異様な事件であったが、実害が無かったためか、一ヶ月後には誰しもが忘れさった。タケシの頭には、仙人風の人間の肉生だけが記憶に残ったままであった。

— 一斗缶ビルダー (@toby_net) 2016年12月29日

ー 10年後 ー

— 一斗缶ビルダー (@toby_net) 2016年12月29日

「母さん、ちょっと行ってくる。」

タケシはサドルにまたがりながら、紅いボタンを握りしめる。そのたびにジャバジャバという音が鳴り響いた。家族がタケシの姿を見たのはこれが最後であった。

— 一斗缶ビルダー (@toby_net) 2016年12月29日

『仙人と母』より抜粋

— 一斗缶ビルダー (@toby_net) 2016年12月29日

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