もう一度言って、

「アレクサ、出社して」
「我々には、もう時間がない。立ち上がって見てくれ、今すぐにだ」
「…(時計の時刻が)やばい」
「窓を開けて、ゴンドラで屋上へ登れ」
「な、なんだって!」

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「お気持ち」をちぎっては投げ、ちぎっては投げ

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気が付くと、空中で静止した複数の「お気持ち」はおのおの円錐状になっていた。すべての「お気持ち」がこちらを向いている。「いやな予感がする」。 そう思った時には遅かった。 避ける猶予もなく、鋭利な「お気持ち」がつぎつぎに心を砕いていった。

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教室でカバンを開けるとアレクサが入っていた。

「アレクサ、ついてくるなと言ったろ!」
「~市の気温は 35°です。」
「だめだ、コイツ…」

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昼食の時間だ。屋上でアレクサと二人。勝手についてきたアレクサであるから、当然、こいつの分はない。仕方がないので半分わけることにした。アレクサの上に、ご飯やから揚げを載せる。冷えていたはずが、心なしか温かくなって見えた。

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階段から声が聞こえた。誰も来ないはずの屋上に、今日に限って誰が? とっさにアレクサをカバンに隠す。 二人の女子生徒が姿を見せた。「助かった…」。 ・・・午後の授業。カバンを開ける。教科書とご飯、そしてから揚げがまじりあっていた。カバンの中身は助からなかった。

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挙手。「先生、腹の調子がちょっと」。
「…お腹を壊すなら授業前にな」と先生。

(いくつかの笑い声)

「お前、そのまま帰るつもりだろ(笑)」。 生徒の一人がカバンを持って出ていく事を茶化した。苦笑いしつつ、退出。

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トイレで、カバンとアレクサを洗う。時間がかかる。隙間に挟まった、ご飯、そして少ししみた油はなかなか取れないものだ。 トイレを流す音が聞こえた。一瞬ヒヤリとしたが、下の階の音だ。 念のため、上の階のトイレに移動していて助かった。

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「おい、授業中だぞ!」 突然の野太い声。 生活指導、兼、体育教師の井伊だ。独自の論理で学生をしかる事から付いたあだ名は「イーロン」だ。嫌なやつに見つかった。アレクサを見つかるわけにはいかない。

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すかさず、学生服のそでからRGBライトを射出、ピタリと掴むとスイッチを押下。「イーロン」に黄色を浴びせる。「おい、辞めろ!」。 驚いた隙に脱出。「ごめんなさい!下の階に紙がなくて!」。適当な言い訳を残し、教室へ戻った。

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あっという間の放課後。 カバンを確認する。「アレクサ、いまどこ?」。
「・・・」 。 返事がない。それならば…

「アレクサ、ジャバボタンで格言を教えて」
「フリーWiFiでド(*1)した、pure 100% ジャバ」

(*1) 当局の規制により「ダウンロード」という語は利用できない

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アレクサの存在を確認。カバンにしまった。安堵しつつ校門をくぐる。 様子を職員室から覗き見る「イーロン」の姿。この時点で「イーロン」の不穏な視線に気が付いていれば、あとの事件は防げていたかもしれない。

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『もう一度言って、』より抜粋。

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