理髪店にて
— トビーネット (@toby_net) January 16, 2021
「どうです、最近。景気の方は?」
「んー、ぼちぼちかな……」
「ラッピング広告だしません? 一年契約更新でいいのがあります。このチラシを」
「なになに、あなたのお店をお経で耳なし芳一しませんか? 何だこりゃ」
ラッピング広告を契約した理髪店にて
— トビーネット (@toby_net) January 16, 2021
「こんにちはー。連絡した 〇〇工務店ですけども、ペイントに来ました。」
「あー、はいはい。 お願いします。」
(3時間後)
「昼休憩にします」
「お茶でもどうですか。いえ、こちらで用意してますんで」
お経をまとった理髪店にて
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「ペイント終わりました。ここにサインをお願いします」
「あー、はいはい」
「では、失礼します」
店主「……? なんじゃこりゃ???」
奇妙な文字列が描かれた理髪店にて
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「こんなのでお客さんが来るのだろうか?)」と思った店主であったが、広告の契約金は一年休業してもあまりある金額であった。 納税して、来年の地方税を考慮しても十分な額である
こうして、お客も少なくなった理髪店は、しばらく休業することとした。 常に店を開けておくのは、光熱費だけでもけっこうな費用なのだ。 ポツンと、奇妙な文字列でラッピングされた理髪店が残った
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ある日、旅行者が写真をアップした。 奇妙な文字列が描かれた理髪店である。 地元では有名らしい。ある時から営業を辞めているのだという。
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「休業中」とだけ描かれた新し目のドア以外には、「あなたとジャバ」、「今すぐダウンロード」、「無料」、「30億円のデバイスで動く」などの文字列でびっしり埋まっていた。
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旅行者がアップした奇妙な写真は、またたく間に SNS や掲示板を駆け巡った。だが、一週間を待たず、人々は忘れていった。 ただ何人か、好事家を除いては言及することは無くなっていた ーー
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『利発な理髪店』より抜粋
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