24時間ゴーグルをつけ、自らを Vtuber と思い込んだ人間がいた。 ある日、ゴーグルを外すと、そこにはぐにゃぐにゃした物体がそこかしこに転がっていた。生臭く、酸味の混ざったもあとから漂ってくる。
— トビーネット (@toby_net) January 13, 2022
人間は即座にゴーゴルをかぶり直した。 目の前のぐにゃぐにゃや匂いは消え去った。夢に違いない、そう思い込んだ人間は、24時間どころか 48
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時間のめり込んだ
1日24時間を48時間分と認識したものの感覚はさらに加速していった。 一日が一週間のように感じるようになった。時期、一年と思えるようになるだろう。
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そうなると、精神的にも余裕ができた。 少しゴーグルをかぶれば、他人の1年分に匹敵する体験や経験を得られる。あわてて、仮想世界にいつづけなくともよい
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慌てることはない。そう考えたあなたは、ゴーグルを外し、周囲のぐにゃぐにゃ、匂いの元、正確には一つではなかったため、徹底的に掃除を行うこととなった。自ら漂う香りも原因のようだった
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片付いた部屋の中、あなたはゴーグルをかぶる。 1年が立つ。外す。おそろしい時間の流れの乖離である。
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仮想世界の一年は現実では 1日分。 さいわい食費が365倍にはならずに住んでいた。 とはいえお腹が鳴ったとき、ゴーグル内では数日間食福のシグナルがなり続け、笑いのネタにされることがあった
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ある日、あなたは仮想世界での不調が続く。ゴーグル内で専門家を訪れてヒアリングを行った。すでに医者もいる時代である。どうやら健康診断を怠っていたため発見できたはずの大病に気が付かなかったようだ
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あなたの余命は治療を最大限おこなったとしても一年半しかないらしい。 連絡する家族・親族、子どもらもないため、あとは床のシミになるだけであった。
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打ちひしがれていたとき、久しぶりにゴーグルを被ってみた。そこではまた一日の時間が増え 2年近くになっていた。
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そこであなたは気がつく。ゴーグルを掛けていれば、仮想余命は1000年以上はあるのではないかと。
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そこで自ら大病の原因を探ることにした。こうなってはゴーグルを外している時間はない。部屋は再び、ぐにゃぐにゃした何かで覆われ始めたが気にする暇はなかった
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いくら仮想余命が現実のそれを上回っているとはいえ、今から研究などをやつてくには、現実味がなかった。いや、仮想現実味とでもいうのか。
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仮想時間で 1年間たった頃、自分と同じような感覚を持つものと出会った。 その物は仙人のような風貌をしており、自分とは比べようのない仮想寿命を持っていた。 どこまで本当なのか。 1日で 1000年がどうとか
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その仙人のような者は、あなたの訳を聞くと、似たもののコミュニティを紹介してくれた。そこにはさまざまな困難をかかえつつも、解決をはかる専門家の集まりがいたのだ
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仙人の紹介した中では、あなたはもっと仮想時間の進みが早く、まるで新入りの気分であった。仙人に匹敵する、もしくはそれ以上の仮想寿命を持つものもいた。
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あなたがもっとも短い時間で寿命が失われると知れ渡ったとき、コミュニティは自らの専門性を発揮するチャンスを得たようだった。
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あなたはあなたを含めたチームにより、大病を解決するプロジェクトに組み込まれていた。
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「いつかこの病も治るのでは?」と希望がわき始めたとき、あなたは急に尿意をもよおした。現実の方である
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「すいません。ちょっとトイレへ」
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ゴーグルを外し、すかさずかわやへ駆け込み、もどるとゴーグルをつけ始めた
「朗報だ。あなたがトイレに行っている間に、治療法は確立されたよ」
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仮想世界でのラボの時間の流れはおそろしい速さで進んでいた。
「しかも、この方法は無料でダウンロードできる。あるスタッフの協力で無償配布が実現した。世の中には慈善事業に力を入れる者がいるのだな」
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何とかソフトの創業者というものがいたというのだ。そんなことをしてもいいのか、と思うあなたであった。しかし、そのような文化の国もあることは知っていた。
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「問題はこれは現実で使わないといけないということだな」
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現実では、2日もあれば完治できるという。 不幸中のさいわいかとおもえた。
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まずはあなたはダウンロードを始めた。慈善事業家の無償配布サイトにて、ダウンロードボタンを押した。中々進まなかったが、ただ待つことにした。
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日が暮れてもダウンロードが終わらないため、サイトを書くにせざるを得なかった。利用規約、ライセンスなどを見るに、わかったことが一つあった
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とにかくダウンロードには時間がかかるということであった。
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「あと仮想時間で10世紀掛かります」中々進まない進捗バーにあなたは途方に暮れるしかなかった。
床のシミになったあなたはついにダウンロードを完了させた。
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床のシミは考えた。ゴーグルをつけたままダウンロードを待てばよかったと。結果は変わらぬだろうが、別の人生を何度も送ることができたのではないかと
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遅かった。床のシミとなったあなたはゴーグルを付けることはもうできない。
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無償ダウンロードにも限界がある。意識が遠のく床のシミであったが、後悔の念は消えなかった。
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『ダウンロード現実』より抜粋
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