「なんだ、この缶詰工場は! この匂い」
— BABY IN HEAD (@toby_net) June 10, 2016
「いつも食べていた猫缶が、人の<パル>だったなんて!」
「オゲーッ」
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「ソフトウェア工場の地下に、まさか<パル>製造ラインが……」
「みろ、まだ通路が続くぞ」
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「一体どこに繋がっているというのだ」
ジャバッ、ジャバッ。
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すすけたジーンズのポケットから、ジャバ音がなった。
私は不安を抑えようと、無意識にボタンを握りしめていたのだ。
「アアィパァッド」 ポケットからノットジャバ音が聞こえた。
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不本意だが、たまに鳴るのだから仕方がない。
ジャバボタンを押下すると、時折聞こえるノットジャバ音。
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私は、これを便利機能と認識している。ジャバ音に集中しすぎているとき、意識を現実に戻す役割があるのだ。
そうこうしているうちに、少し開けた空間に出た。
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「『人材育成センター 地下』……」
「……」
「ご丁寧に看板まで立ててやがる」
「おい、あれを見ろ」
『省エネのため階段をご利用ください』
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しかし、ノット省エネのときに使うはずの、エレベータはなかった。
階段からは、まがまがしい匂いが立ち込めていた。
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「雰囲気が、死体安置所に似ている」
「嫌なことをいうなよ」
「何をしている!」
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来た道と反対方向から、甲高い声が聞こえた。
まずい、階段に気を取られすぎた。
階段があるからには、”上から来る” と相場は決まっているのではなかったのか。
「待て!」 コツコツッ!コツコツッ!
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かん高い声。通路に響くヒール音。
私たちは、階段を登りきると、勢いよく扉をしめた。
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階段と登った先の通路は、遮断されたのだ。
「さっさと、ずらかろう」
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「帰り道なら、人材育成センターOBに任せてくれ」
ドンッという炸裂音が響いた。 驚いた私たちは、来た方向を見ると、扉の反対側に扉が張り付いていた。扉があった場所からは、煙が立ち込めている。
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煙の間からは、紅いヒール、棒、そしてヒールに接続された足が見える。
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ジャキンという金属的な音ともに、棒はヒールに格納。
180度から直角から畳まれつつあるヒザ、そして足の上方には、紅いスーツに包まれた胴体が位置していた。さらに上には、黒い髪、手にはムチ。
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「!? 女!?!?」
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「ゲッ、教官!?」
「教官!?」
私たちは、一目散に逃げだした。 全力で走り切った。
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「教官」と声を発した同僚が、振り返る事もなかったところを見ると、
迷いなく、脱出したのは正解だったようだ。
環水公園で一息ついた頃には、陽は落ち、夕日が運河を紅く照らしていた。
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その後、同僚とカフェで午後のひと時を過ごすと、平静を装い帰宅した。
『パル 2016』より抜粋
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