その鬼の首、まだとれてませんよ

その鬼の首、まだとれてませんよ

— トビーネット (@toby_net) April 3, 2021

つかんでいた鬼の首がピクリと動いたかと思うと、目が動き、存在しないはずの首からしたがモコモコモコと再生されていった

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「ば、馬鹿な…!」
「馬鹿はおまえだ。あえて首を切られたのよ。安全に来るためにな!」

「ジャバさまをお守れせねば!」

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「キエーッ」という掛け声ともに、かつて鬼の首と呼ばれていたパーソンは跳躍した。物理法則を無視したかのような空中で回転。そして蹴り。

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バイーーーン! 空中からこ蹴りが直撃し鳴りひびく音。

「ジャバさまーッ!」

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「ジャバ音が鳴らない…… きさまはかったな!?」と元鬼の首。

「クククッ」、クイッとあなたはメガネを上げると、いちじるしくメガネは白光した。

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鬼の首は動揺していたのか、蹴ったはずのジャバボタンが押下されるだけで、ジャバ音が鳴らないことに衝撃を受けたのか、動きを止めた

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元鬼の首は、いつの間にか現れた二人に拘束されていた。セキュリティが影に潜んでいたのだ。

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再生した鬼の首はゆうに 2m を超えていたが、セキュリティの二人は 5m はあった。 細長い胴体に似合わず、元鬼の首をしっかりとるホールドしている

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次の瞬間、鬼の首は再度ハネられ、ふたたび首だけとなった。そして、首の付根に封印をほどこされた。 それは亜次元へと続くゲートであった。いくら再生しようとも、下は現次元ではない

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鬼の首は再生した体をバタバタさせていた。亜次元の中で。 そのせいか、しかめっ面が首だけの顔ではひときわ目立った。

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安全が確保されたと見るやいなや、あなたはメガネを外した。メガネは、外したあとも光っていた。伊達メガネ白光であった。

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あなたの安堵のため息のあと、鬼の首は叫んだ。
「ジャバ音が鳴らないじゃないか!」

拘束を解こうと首をガタガタ振っていた。

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あなたはふたたび、光るメガネを装着した。 光るメガネ無しでは、次の会話を言える雰囲気ではないと察していた。

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「ジャバボタンはとっくに鳴らなくなっていたのさ。 」

あなたは鬼の首に真実を告げた。またもや光るあなたのメガネ。その光は、調光機能によりすべてが照り輝くようであった。

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あなたは続けた「お前がここに来る思案をするずいぶん前から」

ジャバボタンは機能しなくなっていた、そう続いてもおかしくない様子だった。 光るメガネはあなたの感情と言葉をおおい隠すガジェットであった。

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「そいつの……鬼の首の拘束を解いてやれ」

ムクムクと体を再生し、とりもどすさした鬼の体は、その手を激しく床に打ち付けていた。

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「嗚呼、俺は何のために首だけとなってまで、鳴らないジャバボタンを叩いたのだ」

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「参拝だとでも思えばいい。 即身仏の見学くらいはしたことがあるだろう」
あなたは慰めるかのように返した。

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即身仏の見学とは何なのか、鬼は分からなかったが、そんなことはどうでも良かった。 散々打ちひしがれたあと、帰りに、名物のりんご飴を買って食べながら帰宅した

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ーー 後日

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「報告によると……」

メガネを外していたあなたを見た小柄な部下(3mはある)は、あわてて言葉を止めた。

「いい、続けなさい」

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「……報告によると、鬼の死体が確認されたようです。 死因はアレルギー。 帰りに買ったりんご飴は、鬼の体には合わなかったようです。」

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あなたは光るメガネを光ったまま拭き、ニヤリとした。

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「そうか残念だな。りんご飴を食べられる友が見つかったと思ったのに」

残念なのかそうではないのか分からない表情を見せたあなた。困惑した部下はそそくさと出ていった。

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『その鬼の首、まだとれてませんよ』から抜粋

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