気がつくと猛スピードで走り出す Car クラスにいた。辺りは暗く、どこのインスタンスなのか、メモリ空間なのか分からない。
— ドーナツの穴 (@toby_net) April 25, 2017
突如、FallTo メソッドが呼び出された。おかしい。 Car クラスに FallXX などという機能は無いはずだ。
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一瞬、宙に浮いたように私のプロパティは変化した。オブザーバかデリゲートかは知らぬが、直感的にそれが分かった。
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衝撃とともに辺りが暗くなった。何か冷たいものが顔にかかった。 水? 海水か? どうやら、 FallTo のメソッドコールに指定されていたのは埠頭だったようだ。
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FallTo(Water) ... Waterfall ... 以前の嫌な記憶がよみがえりそうだった。いや、そんな事を思い出している余裕はない。まずは、どうにかして、シートベルトを外さなくては。
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実はシートベルトは完全に Lock されている。目が冷めたときに、一番に試したのであった。
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おそらく、中央集権型のシートベルト管理システムなのだろう。以前の担当者が、シートベルトをロックしたまま帰宅しただとか、客先に呼び出され、そのまま帰ることが無かったなど、いくつか事例を聞いたことがあった。
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今は、シートベルトの管理者に問い合わせる時間はない。リモートでアンロックしてもらうにしろ、駆けつけてもらうにしろ、それまでに私の実体は、ガーベジコレクションにより広い海へと開放されてしまうだろう。
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こんな事もあろうかと、胸元からジャバボタンを取り出した。 パチンと刃が飛び出す。ギリギリと刃を押し付けると、ベルトは私の体を縛る機能を失った。
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(画面がショップチャンネルのスタジオに切り替わる)
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「見ましたか。このジャバボタン! ただジャバをダウンロードするだけではないんです! 」。
ハッピを来た威勢のよい男が、まくし立てた。
「…ならなんと…も付けて!… 手数料はもちろん無料!ジャバだけに!……注文はこちら……お電話今すぐ!」
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茶番だった。しかし、よかった。これはショップチャンネルの演出だったのだ。私は目を閉じ、ため息とともに、胸をなでおろした。しかし、再度、目を開けるとそこは、乾いた Carクラスの中だった。
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Car クラスは再び走り出していた。切ったはずのシートベルトがロックされている。どういったわけか、元通りだ! トランザクション… ロールバック…いやな用語が浮かんだ。私は、元いた海へと帰ることを覚悟した。
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『オブジェクト指向 活用術』より抜粋
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