粘膜と駅前とジャバ

「…その…お兄さん…粘膜、焼いてみませんか?」(ニコッ)
とつぜん看護師姿の人間に呼び止められた。金曜夜の駅前には怪しげなビジネスが飛び交う。

— [編集済み] (@toby_net) November 11, 2017

粘膜?聞いたことがある。鼻炎に聞くとか。
「粘膜? スッキリするようになるんですか!?」
思わず声が出てしまった。

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さえぎるように看護師が口を開く。
「粘膜を焼くとですね、アレルギー鼻炎に効果がありまして。詳細は、検索してもらえるといいんですが…」

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看護師姿はとつぜんに早口でまくし立てた。怖くなった私は、緊張で、ジャケットに入れていた手を握りしめていた。

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“あなたとジャバッ”

しまった。ジャケットのジャバボタンを押下してしまった。

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看護師姿の早口が一瞬止まった。

「…今すぐダウンロード」

次に私が聞いた言葉は意外なフレーズであった。

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冷や汗が出た。状況がつかめなかった私は、振り返ると早足で立ち去った。途中、「ジャバッ、私も知っ」と背後から聞こえてきたような気がした。

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数ヶ月ののち、新しい都市計画が始まった。その後、駅前を見たものはいない。

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『粘膜と駅前とジャバ』より抜粋

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