「へへへ、桃太郎さん、いいのが入ったんですぜ。鬼も一撃で倒せるやつでさあ」
「今度こそ、イケるんだろうな!」
「間違いないでさあ。お代は、1500万きびだんごでさあ」
翌日、命からがら逃げ帰った桃太郎。道具屋を訪れたところ、すでに店は無くなっていた。
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「猿のやつ!いい加減な武器を掴ませやがって!」
「ああ、桃太郎さん、またいい武器が……」
「てめえ!」
猿の胸ぐらを掴む。そんなことはお構いなしとばかりに、猿は片方の眉を動かした。
「狭くなったんで、引っ越したんでさあ」
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「こっちでさあ」
1500万きびだんごでは済まない、立派な屋敷が見えた。桃太郎は、今まで猿に支払った額を計算しては忘れようと、頭を振り払った。
「今度は、ジャバなる秘宝が手に入ったんでさあ。見ていっておくれやす」
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「こっちでさあ」
1500万きびだんごでは済まない、立派な屋敷が見えた。桃太郎は、今まで猿に支払った額を計算しては忘れようと、頭を振り払った。
「今度は、ジャバなる秘宝が手に入ったんでさあ。見ていっておくれやす」
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「猿やん、今度のジャバの件なんだが……」
猿の商店から出てきた身の丈、三尺はある大男。
この体格!見覚えがある!
「イケネェ……」
こちらを見て引っ込めた巨体は、店の柱から丸見えだ。
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桃太郎は、20年にも渡る闘いを思い出していた。
鬼を退治に出ては、やられる。
傷付いたところをキジに助けられた。
幾度となく、桃太郎のピンチを救った犬。
勇敢な仲間たちは戦いの中、桃太郎をかばい死んでいった。
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鬼は日増しに力をつけ、要塞と化した鬼ヶ島にたどり着くのも一苦労。
仲間を失ってからは、桃太郎だけで、鬼を退治することは不可能に思えた。
数年前、神社の境内で、途方に暮れていたとき出会ったのが、道具屋の猿だ。
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「桃太郎さん、噂は聞いておりやす。いい刀があるんでさあ。200きびだんごでどうです?」
これが猿との始まりである。
おばあさんは、何日も徹夜して、きびだんごを200,こしらえてくれたのだった。
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記憶の旅から帰ると、目の前には、眉を半分釣り上げた猿と、慌てふためいた大男。
「猿、お前、グルだったのか……」
「と、と、とんでもございやせん。そ、そもそも、私どもは……」
拔いた刀の光を見てか、猿が後ずさりする。
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「私ども猿商会は、分け隔てなく、便利な道具をお客様に提供しております。また、ごひいきに!!」
「てめえ!」
店に逃げ帰る猿を追って、刀を鞘から抜ききると、目の前には、先程の大男が立ちはだかる。
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「曲者だ!であえであえ!」
目の前の男に気を引かれているうちに、さらなる大男たちに取り囲まれた。
大男たちの磨かれたツノがギラギラと眩しい。
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「フン、このジャバの錆にしてくれる」
丸太のような腕が背丈ほどはある帯刀を振りまわし、結果、空気を切り裂く音が当たりに響く。
「旅は終わったのだ」と直感した桃太郎は、流れた液体が入らないよう、ゆっくりとその目を閉じたのだった。
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『日本昔話に見るジャバ』より
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