国民的ニュース番組にジャバボタンが表示された。
— $screen_name (@toby_net) July 18, 2016
テレビにジャバボタンが映っている。 最初の認識は、まさしくジャバのものだった。
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ジャバボタン(以下ジャバボ)が放映されているはずがない。あなたは無意識にダウンロードされた認識を、ゴミ箱に放り込んだ。 そして、意識的に対話的に、命令を入力するように、目前の映像をとらえようとした。
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あなたの命令は受理され、映像の詳細が徐々に出力された。あなたは頭に流れる出力を読みとると、先ほどまでの認識を －－ ゴミ箱に捨てたそれを －－ 改めざるを得なかった。
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「クソが。」 目前にあるのは、あなたをいら立たせるニュース内容ではなかったが、無意識の認識に腹を立てていた。
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「ジャバ病とか言うアレは、どうだっていいんだ。」 テレビに向かってつぶやく様子は、誰かが見れば別の病気である。
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「無意識にイライラくるんだ。無意識に対してイライラくるんだ。無意識に対して、無意識にイライラくることがイライラくるんだ。」 やはり、誰かが見れば別の病気である。
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あなたはスッと立ち上がり、椅子に座りなおすと、上で座禅を組んだ。
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「スーッ。」 これは病気であるあなたのスラングではなく、深い深呼吸であった。 その姿勢は、洋間向けの椅子であろうが、座禅さえ組めればいいという姿勢である。 あなたにしてみれば、どの座標だって同じことだった。
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あなたは意識を〝いら立ち〟 から 〝ジャバボ〟 に向けた。
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「いきなり見たのは、だった赤いバーだったはず。。。」 まさしく、あなたが見たモノは、紅い帯であった。上から下に、白から紅へとグラデーション。ジャバ病の人間ならば、ジャバボと間違えてもおかしくなかった。
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「赤いバーだからって、ジャバボタンに見えるなんて。どうかしてる。」 あなたは、どうかしていた。
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「バーの上にテロップがあったから、そのせいかも。無料ってあったし。」 たしかに、紅い帯の上には白い文字列によるニュース、〝見出し〟が表示されていた。 とはいえ、〝無料〟という文字列などなかった。
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気を取り戻したのか、あなたは胡坐（あぐら）を解き、座禅に関するトランザクションを終えた。
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「コーヒーでも飲むか。」 あなたは、カップを掴むと、おもむろにコーヒーメーカーの前へと移動した。自身が、HTCPCP（コーヒーポッド・制御プロトコル）になった気がした。「またこれも病気の一種かもしれない」 と、雑念を払うかのように頭をブルブルと横に振った。
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「俺は病気なんかじゃない……。」 あなたは、紅いマグカップをコーヒーメーカーの隣に置くと、筐体の紅いボタンを押下した。
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コーヒーメーカーの表面には、〝今すぐ〟と印字された大きなボタンがあり、寝ぼけ眼（まなこ）でも、押しやすいものであった。
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あなたは、別のポッドからカップにお湯を注いだ。 そして、カップへ両手を添えた。 〝無料〟 と描かれたカップは、ほんのり温かかった。
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『朝は、やっぱり、あなたとジャバ』より抜粋
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