「お世話になっております。こういうものです」
即売会イベントに現れた男は、スマホを見せつけた。なんとそこには、ジャバボタン。
— 一億抜刀 (@toby_net) December 28, 2015
「ああ、ジャバさんですね」
「いえ、ジャバボタンの方です」
— 一億抜刀 (@toby_net) December 28, 2015
「それは失礼いたしました。先程、あなたさんとジャバ仙人さんも、お見えになりましたよ。」
「本当ですか!? そうそう、本題を忘れていました。それ下さい、それ!」
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「『無料ダウンロード』ステッカー下さい」
男が指さした先には、つや消しの紅いボタンが並んでいるではないか。
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「こちらのデューク人形はどうですか。今なら、ジャバ仙人アイコンステッカーもつけます」
「あっ、そちらはまた今度」
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「『無料ダウンロード』ステッカー、500円になります。」
「すみません、今、大きいものしかなくて…」
男が差し出したのは、等身大ジャバボタンの抱きまくらだった。
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ジャバボタンの先には 1000円札が括りつけられていた。
「アッ、これは一本とられましたな。ガハハハ。おつり500円になります。」
一体どこに等身大のジャバボタンが格納されていたのか、知るよしもなかった。
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そこに面妖な風貌の人間が、二人。
「オッ、これはこれはジャバボタン殿〜、わたしは『あなた』です。覚えていますか?」
ジャバボタンは自慢のまくらをようようと掲げながらも、しまったという顔を隠せずにはいられなかった。
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ジャバボタンは、あなたの『殿』という呼び方を聞き、「それがしは~」と自己紹介が続かなくてよかった、と思い始めていた。
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「ジャバボタンさん、今日はジャバ仙人さんを連れてきています」
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次の瞬間、「あなた」の肩に載せられている人形が、腹話術的声色で話し出した!
《ジャバ》
ジャバボタンはもう駄目だと思い、周囲に会釈をするやいなや、イベント会場を飛び出したのだった。
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『言語処理系マーケット42』より
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