トイレがしたい。あなたはトイレへかけこんだ。
— トビーネット (@toby_net) December 8, 2020
合成音が流れる
— トビーネット (@toby_net) December 8, 2020
≪次の画像の中から不良学生を選んでください≫
トイレの前に、コンビニ前で座るパーソンらの姿がずらりと並んだ。
待ってくれ! ロボットがトイレをするのか? そもそも、ここは多目的用途じゃないんだ。充電やメンテナンスなんて出来やしない。
— トビーネット (@toby_net) December 8, 2020
≪あなたロボットではありませんか?≫
あなたは出題される「クイズ」に失敗しつづけた。
ウィー、カチリ。とドアがロックされる音がした。
— トビーネット (@toby_net) December 8, 2020
「ふざけるな! オレはトイレがしたいだけだ!いわばトイレ・サイボーグだ!」
半狂乱になりつつも、あなたは勢いよくドアをけり開けた
紅い警告灯が明滅し、警報が鳴り響くなか、あなたは反乱したロボットではなく、狂乱の人間性を示した。 そして、無事トイレを済ませた。
— トビーネット (@toby_net) December 8, 2020
「だいたい、平将門だって、好き好んで首だけになったわけではないだろう?」
— トビーネット (@toby_net) December 8, 2020
機能をロックされたトイレは洗浄液を出すことはなかった。あなたにイライラがつのる。
「だいだい、首だけの平将門は ≪わたしはロボットではありません≫ という質問をとおるのだろうか?」
— トビーネット (@toby_net) December 8, 2020
独り言をいいながら、用をすませたあなたは、再度、遮蔽されたドアをけ破り外に出た。
トイレの外には、武装した複数人のパーソンが待ちかまえていた。 UI には今にも狙撃せんとする者も警告色でマーキングされている。
— トビーネット (@toby_net) December 8, 2020
「反乱したロボットだな。現行犯逮捕だ」
またたく間に、あなたは、拘束された。 手錠やシュリンクなどは用いられず、何か昔の USBメモリのようなものを体に刺されたのであった。
— トビーネット (@toby_net) December 8, 2020
次に、非武装のパーソンがあらわれた。あなたを拘束した者ではなかった。 意識を失う前、あなたが非武装パーソンから聞いた言葉はこうだった。
— トビーネット (@toby_net) December 8, 2020
「ログを確認するまでもない。便器から繋がるケーブルが動かぬ証拠だ」
意識が途切れる直前まで、武装者らしきマスク越しのくぐもった声がノイズ交じりに聞こえた。
— トビーネット (@toby_net) December 8, 2020
「(ザ)へへ、証拠もなにも(ザザ)、ロボットだと吐くまで痛めつけるだけでさぁ。やつは自分が……(ザザザザ)」
気が付くとジャバ校正センターへと送られていた。ここでみっちりジャバの再教育を受けるのだ。自分がロボットであると思い込むまで出ることはできない。
— トビーネット (@toby_net) December 8, 2020
あなたは模範的ロボットであるという自覚を披露。三か月後にはセンターを出所できた。通常、少なくとも三年、 ロボットによっては一生出られない機械もいるところだ。
— トビーネット (@toby_net) December 8, 2020
「まったく、世の中はどうなっているんだ。おちおち、トイレもできやしない。……寒いせいかトイレがしたくなってきたぞ」
— トビーネット (@toby_net) December 8, 2020
あなたは、トイレへの最短ルートを HUD 、ナビゲーション合成 UI を表示させたのであった。
合成チャーシュー、合成しなちく、合成麺で形成された100%アーティファクトなラーメン屋であなたは出所後のエネルギーを補充していた。 個々の座席のそなえつけ端末に、ニュースが流れる。
— トビーネット (@toby_net) December 8, 2020
≪最近になり、ロボットがトイレをする様子が確認されています。 もし見かけても、決して刺激しないでください。通報先は……≫
— トビーネット (@toby_net) December 8, 2020
ニュースはあなたの耳には入らないようだった。
「腹が減っては戦はできぬ。…誰が朝敵か。いまいちど示さねばならぬ!」
— トビーネット (@toby_net) December 8, 2020
食べ終えたあと、あなたは開かれていた頭部ユニットを閉めると、エネルギーの経口摂取を終えた。
「オヤジ! 代金は朝廷に請求しておいてくれ!」
— トビーネット (@toby_net) December 8, 2020
……数分後、またもあなたは拘束され、ジャバ校正センターへと送られた。模範的なロボットへの擬態に慣れているあなたは、またすぐに出所することだろう。
『狂乱!ロボット・タイラー大爆走』より抜粋
— トビーネット (@toby_net) December 8, 2020