木こりの泉 特別レポート

泉の女神「落としたのは、この PS4 で遊べるゼルダですか、それとも Steam のゼルダですか」
「落としたのは友人の物です。私は、ゼルダを買っていません。」
「正直ですね。あなたには、PS4とSteamのゼルダの開発権を差し上げます」

— ドーナツの穴 (@toby_net) March 7, 2017

泉の眼鏡「落とされたのは、金のメガネですか。それとも銀のメガネ」
「ええっと、見えない…」
泉の眼鏡「正直者ですね。いいレーシックの病院を紹介します」

その後、メガネは来なかった。

— ドーナツの穴 (@toby_net) March 7, 2017

木こりは納期ギリギリの仕事を何本も抱えていた。まともな思考が出来ていないのか、大事な仕事道具を泉に落としてしまった。

— ドーナツの穴 (@toby_net) March 7, 2017

そこに泉の神が現れる。
「あなたが落としたのは…」
「ウーッ!」ドンッという音ともに、神は泉に落とされた。
木こりは水面に顔を出す神を押さえつける。湧き上がる泡。数分後、泉は静かになった。
たび重なるストレスはこうも人間を変えるものだろうか。

— ドーナツの穴 (@toby_net) March 7, 2017

スッキリした顔の木こり。立ち去ろうとすると、泉からボコボコと音がするではありませんか。

「あなたが落としたのは、鬼神の面をした泉の神ですか。それとも、部屋の隅で体育座りしている神ですか」

「だ、誰だお前は…」

— ドーナツの穴 (@toby_net) March 7, 2017

「私は、当泉の神の上司です。この度は、ご迷惑をお掛けし、たいへん申し訳ございませんでした。お怪我はありませんか」
「神の上司…」
「そうです。弊社『神の泉』は全国に展開しておりまして、それぞれ特色ある神がお客様を出迎え…」

— ドーナツの穴 (@toby_net) March 7, 2017

「ちなみに、お客さまが落としたのは、この刃がかけた斧ですよね」
「そうです」
「正直者のあなたには、金の斧と銀の斧を差し上げます。…それと、これを……」
「ダイヤモンドの斧? こんなの受け取れないよ」

— ドーナツの穴 (@toby_net) March 7, 2017

「では、こちらに置いておきます。私は、うっかりダイヤモンドの斧を忘れていったのです。誰かに拾われるかもしれません。」
「うへえ」
つい参った顔をしてしまった。そのせいか、これ以上はバツが悪いと判断したのか、上司は泉へと帰っていった。

「また、弊社泉をご利用ください」

— ドーナツの穴 (@toby_net) March 7, 2017

泉はフランチャイズだったのだろうか。 沼地を居抜きして、設置した泉もあるのだろうな。そうだったら、簡単に見つからないだろうな。

— ドーナツの穴 (@toby_net) March 7, 2017

一週間後。仕事はなんとか乗り切った。息抜きに、私は泉を探し始めた。泉があるたびに、ジャバ搭載デバイスを投げていった。120億以上もあるので、十個投げ入れても問題はなかった。

— ドーナツの穴 (@toby_net) March 7, 2017

1024個目の泉。ようやく、泉の神が現れた。はずだ。しかし、現れた神らしきものは、深くフードをかぶり「ジャバジャバ」と呟いている。

「すいません、ジャバを落としちゃって…」

— ドーナツの穴 (@toby_net) March 7, 2017

「……」フードは無言になり、2つの立方体を差し出した。一つは紅い、もう一つは蒼い。

どちらも「無料」と刻印されている。試されているのだろうか。いや、これが「泉」なのだ。

— ドーナツの穴 (@toby_net) March 7, 2017

以前のように、私はフードを蹴り落とそうとした。
「ていやぁ!」
ヒラリとフードは、蹴りを交わすと、振り向きざまに私の背後に回っていた。
「し、しまった…」
とき既に遅し、私は逆に蹴り落とされてしまったのだ。ああ、ここは神の泉ではなかったのだろう。

— ドーナツの穴 (@toby_net) March 7, 2017

気がつくと、私は倒れていた。いつもの街ではない。まるで、機械に覆われたプラントだ。いや、何かの生産工場だろうか。

— ドーナツの穴 (@toby_net) March 7, 2017

「そうか。あの泉は、ポータルだったわけか?」

ギュイー、バシバシといかにも火花が散りそうな音が、聞こえる。遠くまで続く、生産ラインが見える。

「ソフトウェア工場?」

— ドーナツの穴 (@toby_net) March 7, 2017

そのとき、私は背後からの気配に気がつくことが出来なかった。もし、すぐに引き返し、そのまま我が家まで走っていれば、今のような事にはならなかっただろう。あの時のことを私は後悔している。

— ドーナツの穴 (@toby_net) March 7, 2017

『木こりの泉 特別レポート』より抜粋

— ドーナツの穴 (@toby_net) March 7, 2017

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