「カマボコッ!」
— トビーネット (@toby_net) July 13, 2021
対象の身を守った腕がカマボコ状になり、床にゴトリと落ちる。一瞬遅れて、腕と繋がっていた先端、そう手が単体で床に転がっていた
「フランダースのカマボコ」
— トビーネット (@toby_net) July 13, 2021
すべてが遅かった。カマボコ職人として引き取る予定のオヤジ、恩返しにすべてのカマボコを購入すると豪語するファミリー。しかし、自らをカマボコとし、文字通り切り売りしていたフランダースは最後のパーツを無言で業者に預けた、
最近になって、良質なカマボコを販売すると評判の業者ジャバ仙人。フランダースの一部をカマボコとして販売していたとは最後まで気が付かなかったのだ。 ポツンと置かれたカマボコを、最後のカマボコを、保冷バッグに詰めると、いつもの彼/彼女/その他/答えないのいずれかを三択してください
— トビーネット (@toby_net) July 13, 2021
あなたは早く続きを読めたくなり、性別欄を押下した。どれでもよかった。真実など、ユーザーに最適な広告を表示するためのエサに過ぎない。サービス利用規約を参照。
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保冷バックという単語からは、家庭的で家事を行う 30代〜60代を彷彿とさせる。そう感じたあなたの前に、今度は「あなたは人間ですか?」とダイアローグが浮かび上がった。
— トビーネット (@toby_net) July 13, 2021
早くカマボコの最後を見届けたかった。あなたはすぐさま「人間ですか?」という問いに「いいえ」と答え、さらに続けて表示され続ける画像認識タスクを秒間数千枚の勢いで答え続けていた ーー
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すべてのタスクを完了したとき、あなたが目にしたものは「登録すると続きを読めます」の文字であった。登録ボタンなどない簡素な装飾。続きのリンクを押下してもエラー表示すらあらわれない。続きも表示されることはなかった
— トビーネット (@toby_net) July 13, 2021
あなたは人間ではない。そう判断するやいなや、記事はヒューマンリーダブルを止めた。 あくまで機械に読まれる最低限の装飾をそなえ、武装して、あなたの前に、現出したのであった
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あなたは記事に背を向けた。カマボコのことなど忘れた。そして SNS へと挨拶をした。「おはようございます。今日の朝飯はカマボコです」。日課であった。
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あのとき、ジャバ仙人が最後のカマボコのかけらを食べていたらあなたはいなかった。
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かけらから何かを感じとったジャバ仙人は、バイオジャバ技術を利用し、カマボコのかけらから、あなたを再生したのだ。大部分を機械でおぎなって
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正直いえば少し不便である。あらゆる記事は、機械向けには簡素な内容を示す。必要のないメタデータもついてくる。
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機械ではあるが、ベースは人間であるあなたには不便な世界に変わってしまった。だが時期、なれてゆくだろう。
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感謝して、朝食のカマボコをほおばった。ジャバ仙人から送られてくるカマボコはいつも味が異なり。仙人はいつも「実験だ」と言っていた。 今日のかまぼこは懐かしい味がする
— トビーネット (@toby_net) July 13, 2021
こぼれ落ちたカマボコの欠点は、机の上で、ムチムチとあばれまわるほど新鮮なようであった。 まるで、ジャバジャバと鳴かんかのように
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『ジャバ名作劇場 ー カマボコの犬』 より抜粋
— トビーネット (@toby_net) July 13, 2021