「陰膳ブームなので俺も陰膳するか」と、遺影を用意して入室。しかし、そこには「ペット不可」という張り紙があり……
— トビーネット (@toby_net) March 25, 2021
「陰膳とはいえルールはルールですので」
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「おひとり様ですか?」
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「いえ、15人です。」
カードのような遺影をずらっとフロントにならべる来客。
「御遺影は24名分ありますが…」
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「ふむ…今日はこいつらで」
スッと並べた遺影から選んだものを14人分抜き出す来客。
「では 15名様で」
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「…うむ。」
パチンとお客が指を鳴らすと、ぞろぞろと四足歩行ロボットの軍勢が入店。モニターには、遺影が映し出されていた ーー
四足歩行ロボットの軍勢はそれぞれが小型のモニターを持ち、映し出された遺影によって、まるで顔のようなパーツであった。
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店員がいくつかテーブルを動かし、大きなテーブルへと姿を変える中、遺影の顔を持つ四足歩行ロボットらは、器用に二足歩行へと形態を替え、椅子にすわりだしていた
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すでにメニューは決まっていたかのようだった。柔軟に変形するロボットらと、生身のお客はちらりと目くばせしながらも、テーブルのボタンを連打していた
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今や人間のようにしか見えない四足歩行ロボットも、各自でボタンを連打していた。店員を呼ぶデバイスではなかった。ただのジャバの無料ダウンロードボタンにも関わらず、それは連打されていたのであった ーー
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それは異様な光景であった。 奇妙なロボットらが、壊れるまで紅いボタンを連打する。ジャバジャバ鳴り出したと思うと、壊れたのか、ジャババババババと鳴り出す始末。しかも、そこら中で鳴り出していた。
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パチンと生身の来客が指を鳴らすと、一転。一瞬にして、どのロボットもボタンを押すことを止めた。ただいくつかの中途半端に壊れたボタンだけが、ジャバ音を鳴らし続けていた
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『紅い陰膳』より抜粋
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