(振るとカラカラ鳴るスマホ)
— ト (@toby_net) December 19, 2018
「ち、違う!この音はネジじゃない。」「まさかコンデンサでも外れたなどと?」
「…これは立体迷路をころがる音!」
目を閉じたまま、心眼でスマホ内部の金属球をころがす社員がいた。
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「これは 【余計なもの】なんかじゃない…」
カチリと音が鳴り響き、スマホは突如として形を変える。そこで、社員が見た紅いボタンとは?
競合の新型スマホが紅い立体に変形したとき、あまりに驚いた社員は、まばたきは一つくらいにした。
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「これはジャバボタン!」
次の日、日本で一番長い会議が始まった。 なぜスマホにカラクリのような機能があるのか。技術を見せつけたいのか。一体ユーザーになんの得があるのか。
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そのとき、一人の若手社員が挙手した。隣の先輩は、集まる注目を誤魔化すように、分割されたキーボードを一つに結合させる。挙手のふいうちに、静かになった会議室には、キーボードのアクリルがこすれる音がした。
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若手社員は、自らをジャバ仙人と名乗った。明らかに若手ではない風ぼうは、次に口からでる言説に説得力を持たせた。
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「ジャバ…」
先程まで分割キーボードのケースのクリアランスに歯がゆい思いをしていた先輩は、ここぞとばかりに、若手をカバーし始めた。
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「そ、そう。彼の言うとおりだ。これはジャバ…ジャバをダウンロードする装置!」
先輩は、自らの声を脳にループバックさせ、興奮がとまらず、次々に口からあることない事を話し始めた。それは表層的な内容ではあったが、徹夜続きの会議室には心地よいエンディングのように聞こえていた。
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エンディングロールが終わり、映画のおまけ映像を見るかのようなタイミングで、先輩は切り出した。
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「つまりは、無料でジャバをダウンロードさせる装置なのです。」
先輩の演説、連日の徹夜、エンディングロールの終わりという全てが揃った会議は、ジャバの一声で終わりを迎えた。
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『ジャバウェイ ー 見つかったもの』より抜粋
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