心霊とジャーバニズム

押された。 圧死である。人間ならば間違いなく死んでいるところである。 幸いなことに、彼は、ボタンであった。

— null (@toby_net) December 4, 2015

何度、凹まされても凸上がる。 押されたか否か、0か1か、極端な状態を持っているようだった。どうも彼からすれば、バイナリでも平気なようである。

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いつもは、彼を職場や家から押している。 だが、ある時、出先で気になって、ふとカフェから彼を押してみたことがある。

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押下した彼からは紅い、ドロっとしたものが溢れ出していた。何のメタファーか? いや、その日は朝から、そわそわしていて…。 いやな、予感はしていたのだ。

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「ウワッ!ジャバッ!」 あなたはビックリした。拍子に、ペチングとパソコンの天板をとじてしまった。 その勢いからすると、カフェから飛び出していてもおかしくなかった。

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店員の「ありがとうございました」という声で、我に返った。店が先払いで良かったと、あなたはホッとしたのだった。

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「オジョボ、アジョボ、アジャバー」 期緊張感が漏れたあなたの口からは、一瞬、幼児退行が溢れ出した。 次に、カフェに訪れた時、パソコンにはいつもの彼がいた。

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あのときの彼に合うことはなかった。 溶け出した HTML に、マグマのような CSS。あれは何だったのであろうか?

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女友達にこの話をすると、返ってくる言葉は決まってこうだ。 「キモい」 「そういえば、あんた誰?」 紅いボタンから、何らかの力が働いてることを、あなたは確信していた。

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『心霊とジャーバニズム』より

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