ジャバリビオン

「殺傷能力のある武器を避け、ジャバボタンを使用した」

一人称視点の映像とともに、ナレーションの音声がひびく。

— ト (@toby_net) October 1, 2018

両手を広げ、片手にはジャバボタン。もう片方は前につき出すのを忘れない。一人称視点、特有のかまえを見せながら、ジャバ警備隊員は対象へとせまる

— ト (@toby_net) October 1, 2018

対象の前の木箱がジャンプで超えられないため、避ける。 だが、箱と箱の間の隙間は通ることができない。隙間からは、相手が見えているというのに…

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腹ただしさに、ジャバボタンを思わず振り回した。 ∞の字を描くように、紅いボタンは軌跡を残す。

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何度か、木箱に当たったジャバボタンからは「ジャバ、ジャバ」とジャバ音が聞こえる。 おもしろがっている場合ではない。なにせ、ジャバとなるたび、残弾表示は減っているのだから。

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30億はあった残弾が、すでに 29億9999万9982までに減っていた。ジャバボタンが空を切るたび、デバイス数が減る仕組みだ。

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ジャバボタンはやたら振り回すものではない。 ジャバ音が鳴らなくなる事もある。 そんな時は一旦電池を外して、強制リセットだ。リロードともいう。

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ジャバババババ!
.   ジャバババ!バババババッ!

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ジャバボタンから排出されたデバイスがカラカラと床に転がる。 落ちて焼けたデバイスが、化学繊維のカーペットを溶かしていた。

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ガシャリとジャバボタンを2つに曲げると、バッテリーがあらわになった。対象に余裕を見せながらも、バッテリーのリロードは欠かさない。

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パシンと感高い音とともに、リロードされたジャバボタンは再び、いつもの形状をとりもどす。 細長いボタンは、それ一つで無料にもボタンにもなり得る。

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見た目に反して大きい木箱の森をくぐり抜けると、ようやく対象をとらえられた。

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視界に入った対象。対象はふるえる手に開発環境をもちながら、あなたをzipと眺めていた。 体全体がふるえているかにも見えた。 いたたまれなくなったあなたは、ジャバボタンを逆さに持つと、相手に差し出した。

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なぜあなたはそうしたのか分からない。今まで対象だったはずの相手に、大事なジャバボタンを渡すものだろうか。

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対象があなたのジャバボタンを完全に引ったくったとき、すべてを思い出した。

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ジャバパババババッ!

対象はあなたに向かい、あなたからうばったジャバボタンを連打している。

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対象は知らないのだ。ジャバ連呼されたジャバボタンは安全のため、空中から 無料ジャバが降ってくることに…

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少しのあと、ジャバ音は聞こえなくなっていた。 がれき…失礼、大量の無料の物体に埋もれた対象は、気を失うところであった。

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あなたは、対象の手から離れたジャバボタンをぶんどると、バッテリー残量を確認しつつ、ジャバボタンホルダーにしまった。

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あなたは、無線機ごしに報告した。
「殺傷能力のある武器を避け、ジャバボタンを使用した」

三人称視点の映像とともに、あなた音声がひびく。

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『ジャバリビオン』より抜粋

— ト (@toby_net) October 1, 2018

ジャバボタンの生体認証モジュールは、ジャバ仙人にだけ、特別に無制限な使用許諾が降りるという。 いわゆるイースターエッグだが、こんにちでは脆弱性と呼ばれている。しかし、そのジャバ仙人を見かけるものは近年いなくなり…

— ト (@toby_net) October 1, 2018

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