ジャバから生まれた太郎

むかし豊かな大地がありました。おじさまは赤や緑に染まるキャンパスへ紅葉を見に、おばさまは青々とした流れの河川を見に、揃ってドライブに行くところでした。

— 商用ドローン (@toby_net) February 19, 2015

山々は美しく、細い橋を渡り、泉のようなダムの横を通りかかったとき、おばさまは車を止めてほしいと言ったのです。

— 商用ドローン (@toby_net) February 19, 2015

あとになって思えば、このときに車を止めていなければ……。それは、あくまでif(もしも)ではあるのですが、当時の悲劇を防げていたかと思うと胸が苦しくなります。

— 商用ドローン (@toby_net) February 19, 2015

車をとめ、車の外に出たおばさまはいつの間にかガードレールに身を乗り出していました。私が危ないと思ったときには、おばさまの姿はありませんでした。

— 商用ドローン (@toby_net) February 19, 2015

私の心を映すように稲妻が響きました。夕立ちの中、おばさまが消えたガードレールからダムを除くと、どんぶらこどんぶらこと桃のようなものが流れてきます。

— 商用ドローン (@toby_net) February 19, 2015

「桃ダーッ!青春の桃!モモーッ!」待ちきれないおじいさんはダムにダイブ!桃にかぶりついた口から「我モモ太郎カクホセリ」と咆哮が響く。まま、見事な倒立体勢のままダム穴に消えていったのであった。

— 商用ドローン (@toby_net) February 19, 2015

目が覚め気がついた頃にはすでに日が落ちていました。今、環境光で薄暗く照らされるホテルの部屋には、私しかいません。

— 商用ドローン (@toby_net) February 19, 2015

おじさまが叫んだモモ太郎という言葉の意味はわかりません。しかし、この後、捜索願いを出し、死亡が確認されることは確かです。

— 商用ドローン (@toby_net) February 19, 2015

私は昼間の白昼夢のためか、寝付きがよくありませんでした。眠剤を飲み終えると、眠るまでの間に保険会社になんと説明すればいいのかを考え始めました。

— 商用ドローン (@toby_net) February 19, 2015

「モモ太郎」を現場にいなかった人間に説明することは難しいでしょう。とにかくおばさまはダムに飛び込み、おじさまもそれを追って飛び込んだと。そう説明することにしました。

— 商用ドローン (@toby_net) February 19, 2015

ふと思いつきおじさまのバックを開けてみました。それは遺書を見つけたかったわけです。ですが、遺書はありませんでした。ただなぜか「ジャバ」と書かれた達筆の手紙が見つかりました。

— 商用ドローン (@toby_net) February 19, 2015

もう一つ確認しなければと思いアタッシュケースを開けました。そうです、おばさまの持ち物です。遺書は……ありました。(それは私にとっては単なる悩みですが)おばさまにとっては、大変な苦しみを得る事柄があったようです。

— 商用ドローン (@toby_net) February 19, 2015

眠剤を飲んでいたことを私は忘れていました。意識がなくなる前に元に戻そうと私は慌てていました。おじさまのジャバと書かれた手紙を、おばさまの遺書の封筒に入れてしまったのです。 『ジャバから生まれた太郎』より

— 商用ドローン (@toby_net) February 19, 2015

ジャバ名作劇場 に戻る