ある日、地元にドックリビンキーの店舗ができた。そのときに初めて知ったのだ、ビックリドンキーだということを。
— トビーネット (@toby_net) February 9, 2024
つまり……騙されていたのだ。何年かは分からない。ずっと勘違いしていたのだ。ドックリビンキー。罪深い言葉。
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ドックリビンキー、いったことなし
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またもや間違えた。ひな鳥は生まれたときに見たものをドックリビンキーと思ってしまう。それと同じだ
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それとなく気がついていた。よしのやぎゅどーんの意味を。地元にも店舗ができ始めたからだ。……ただ……俺にとってはまつやぎゅどーんであった。
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まつやぎゅどーんも長くは続かなかった。いや決して店舗が廃れたから、景気が悪くなったからということではない。俺のこころには、とうきょーてーかつどーんが居座っていたのだ。
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とうきょーてーかつどーん。なんという響きであろうか。今でも思い出す。産まれて初めてかつどーんにあった頃を。そしてそのモンスター級のどーんを。
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とうきょーてーかつどーんを平らげるまでには数年が必要だった。それだけ当時の俺にはきょうだいな怪物だったのだ。
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成人式には行かなかった。恥ずかしかった。とうきょーてーかつどーんをやる前にどうして大人になれようか。
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実のところとうきょーてーかつどーんはすでに食べられるようになっていたのだが、自分が許せなかった。人の金で食うかつどーんが食べられるようになったところで大人とは言えないのではないか。……若さとはこのような悩みもあらわれるのだろう。
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ーー大人になる日は突然に来た。先日、ふらっと用事の帰りに立ち寄った。気がつくと目の前にとうきょーてーかつどーんがあったのだ。
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無意識に注文したかつどーんからは光があふれていた。隣も前も透明なついたてで区切られていた。どのお食事どころそうだった。そのような時勢もあったということだ。
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そして大人になった俺は悟った。人の金でくうかつどーんは美味いと。結局美味かったのは人の金でくう飯なのだと。
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問題は会計である。衝動的に入った店舗であった。どこを探しても財布はなかった。外食の予定はなかったのだ
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だからといって何も無いということはないだろう。俺はあわててすべてのポケット、カバンをひっくり返して探した。
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こういうときのために、免許証入れ、靴の裏、ベルトのバックル、耳のうしろに2000円札を入れている。……はずであったがどこにも無いのだ。
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「お客さん？」店員に急かされた気がした。あわてた俺はカード入れを床にぶちまけてしまった。
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「……」無言で拾うのを手伝う店員。結局はその店員に助けられた。
「お客さん、これ使えますよ」
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……それはジャバカードだった。
「ほら、通りましたよ。毎度あり」
もっててよかったジャバカード！
『今夜明かされるジャバカードの秘密』より抜粋
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