「これはモデルガンですよ? この画像のが本物の銃に見えますか」
— トビーネット (@toby_net) 2019年10月25日
「で、では… この死体は…」
— トビーネット (@toby_net) 2019年10月25日
「あっ、それは本物の資料を元に描いた死体です。冷蔵庫、見てみます?」
「い、いえ… いいです」
— トビーネット (@toby_net) 2019年10月25日
「では野菜室のはどうですか… おっと…」
ゴトリと音がした。 張り合わせたコピー紙の包みの中には、何か固いものがあるようだった。
「…」
— トビーネット (@toby_net) 2019年10月25日
「……」
ゴウウンと冷蔵庫からは響くような音がなる。
ピピーッと警告音。冷蔵庫の扉からだ。
— トビーネット (@toby_net) 2019年10月25日
「あ、開いてます」
「……」
トンと小突からた冷蔵庫の扉は静かに閉まった。
目の前でガサリと白くツギハギの包みを開け始めるフードの者。
— トビーネット (@toby_net) 2019年10月25日
「ヒッ…」
「どうしたんですか。これは資料ですよ、ホラッ」
思わず、渡されたものを落とさないよう両手を出していた。 その手の上には、冷たくもないが、暖かくもない、「ちょうど」の暖かさ、ズッシリとした紅い棒状の物体があった。
— トビーネット (@toby_net) 2019年10月25日
ジャバボタンがあった。 野菜室にジャバボタンが。
— トビーネット (@toby_net) 2019年10月25日
「…これ、本物ですか?」
「えっ…? 資料ですよ、資料。 何なら押下してみます?」
「…いえ、辞めておきます。何も見ていません。何も。」
— トビーネット (@toby_net) 2019年10月25日
実際は重くもないが、その棒状の物体から伝わる「責任」ーー 重圧 ーー が思考をためらわせた。
「…なんですかぁ、これはぁ。「無料」っ?分からないなぁ」
— トビーネット (@toby_net) 2019年10月25日
「……そうですか。見てもわからないんですね」
「…」
「「無料」って何で知ってるんですか?」
そこで記憶が途切れていた。あなたが目を覚ましたのは、廃屋の、電灯も無い小屋であった。 雨音がトタン屋根をうつ音が小うるさい。ここはどの地方であろうか。
— トビーネット (@toby_net) 2019年10月25日
ジャバボタンらしきものを見てから何日たったであろうか。 とにかく、あの取材対処から離れなくては。 まさか、ガソリンが抜かれているとは。
— トビーネット (@toby_net) 2019年10月25日
内ポケットには小銭しかない。レンタカーの遅延料金を払うには心もとない。いや、端末の充電ができれば決済はできる。だが、こんなところまで来てしまえば、コンビニもレンタルの支店もないだらう。
— トビーネット (@toby_net) 2019年10月25日
もう一つ、なぜかボウッと紅く光る内ポケットのジャバボタン。薄いジャケットを超えて存在感を放っていた。
— トビーネット (@toby_net) 2019年10月25日
『蛇馬牡丹』より抜粋
— トビーネット (@toby_net) 2019年10月25日