たまに街にでて、ジッとするなどのところから始めたい
— にんじん栽培うさぎ (@toby_net) May 7, 2016
時計を見ながら、駅前の辺りで「っせーな」などの小声とともに、生け垣を傘でズブズブつつく。
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「遅かったな、何かあった?」と人に声を掛け、「アッ、スイマセンでした」と人違いを演出。
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すかさず、携帯を取り出し、「未読かよ」とレンガを一蹴り。 電話を掛けながら、「例の話だが、ここは盗聴されている。いつもの所で落ち合おう」
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誰かに聞かれていないか、チラッと周囲を確認。目を動かさず、視界の範囲ギリギリまで人間の動きを察知。
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されげなく、ごく自然に携帯を仕舞うと、駅前のカフェへと移動。そこで、待ちあわせていたのは、紅いスーツのエージェントだった。
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「例のジャバは持ってきたか。」とスーツ。
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「……いや、ここにはない。」応えるあなた。
スーツのモノ言いたげな動作を遮るようにあなたは口を開く。
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「ジャバならサーバーアップされている。」
「……そうか。そうだった。」
「ジャバの在り処(ありか)は伝えた。約束の契約書を渡してもらおう」
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「…… 取り引きは中止だ。」
「ジャバがサーバーにアップ済みだと分かった以上、取り引きは中止だ。」
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「馬鹿な!無料とはいえ、約束を反故(ほご)にする気か!」
声が大きかったのか、周りの視線が刺ささるようだった。 うっかり、ジャバがアップ済みだと話したがために、契約は打ち切りとなった。
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気がついた時には、スーツは居なかった。あなたは、一つしかないカップのジャバを飲み干すと、カフェから出たのだった。
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『外出のためのシナリオ集 35選』より抜粋。
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