冷蔵庫にあるもので製造

「先輩いつもスパゲッティを生で食べてるんですか? 」

無言でうなづくあなた。

「ちょっと、冷蔵庫かしてください」

— 小学ニ年生 別冊付録 (@toby_net) April 13, 2018

「冷蔵庫にあるもので作ってみました」

ギュイーン、バリバリとキッチンから音がし始めた。

「先輩できました」

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薄い壁を伝わりそうな調理音だったが、幸い隣人は出かけて、いない。

ドコッ!ズンッ!と重量感のある「何か」がテーブルに置かれていく

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あなたは思わず口を開いた。
「これ、冷蔵庫のもので作ったの?」
「はい先輩」

冷蔵庫には、空の製氷皿と、カフェインフリーのコーラしかなかったはずだ、とあなたは首を傾げた。

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「冷めますよ。早く食べましょう」
「食べ…る? これ…を…?」

目の前には、明らかに高温の色を放つ溶解した「何か」。 鉄クズの詰め合わせに、電子的な部品が、盛り合わせられていた。

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「わるい、ちょっと手を洗ってくる。ついでに…」トイレだ。

せまい通路。トイレの前。キッチンを見て、あなたは思わず身震いした。

冷蔵庫は無くなっていた。

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トイレから出て、重大な事に気がついた。なんと、冷蔵庫に貼られていたマグネット式ジャバボタンまでもが、なくなっていたのだ。

「先輩、どうしたのですか?」

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冷や汗のでるタイミングで声をかけられたものだ(と思った)が、あなたはすぐに落ち着き、玄関に向かう姿勢をとる。

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「先輩、ジャバボタンならここにありますよ」

ジャバボタンはまだ生きている…。 どうやら人質をとられているらしい。あなたは、しぶしぶ「何か」の摂取に付き合うこととなった。

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『冷蔵庫にあるもので製造』より抜粋

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