ストールマン退陣後、フリーソフトマスクをかぶった謎のストールマンがあらわれる。 人々がおどろいとのは、マンがすべての光を吸収するかのようなマントをなびかせていたことではなかった。ただの空間にフリーソフトウェア財団への入り口を開けたのだ。
— トビーネット (@toby_net) September 17, 2019
人々は、フリーソフトウェア財団の実在を認めざるを得なかった。 それまでは、都市伝説のようなものであったと言われ、ストールマンが自身に財団が内包されているとさえ噂されていた。
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人々は --フリーソフトウェアの行く末を気にするいくらかの人間たちは -- 大挙し、財団への入り口をくぐった。 何人かの体は空間とのはざまに触れるも特に切断されるといった、民衆が期待するようなことは起きなかった。
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財団の内部は、ただの好奇心により探索がはじめった。いや始まったというより、その奥がはるか遠くまで続くように見え、 その先には椅子が見えたのだ。 探索は終わった。
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フリーソフトマスクをかぶった者は、屈強な体躯で財団の奥に腰をおろしていた。 肘をひじ掛けに、手のひらをあごにつけ、ただ元々そこにいたかのようにたたずんでいた。 今や財団のあるじと言わんばかりであった。
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氷のように、さまざまな反射を見せる椅子は財団の内部と同じような素材に思えた。 どこからともなく光が内部を照らし、同様にどこからともなくあらわれたコーヒーをマスクの者は味わっていた。
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コーヒーカップは、通常の大きさのはずが、マスクの体の大きさと比べるとまるでエスプレッソほどの小さな入れ物に見えた。 椅子の横の丸いテーブルには、白い皿とともにドーナツが添えられている。
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人々はただマスクがマスクのままコーヒーを飲む様子を見守った。 その場の人々にとっては、マスクのまま液体を飲むことはささいなことである。 それよりも、伝説上の「コーヒーポット・プロトコル」が目の前にある。きっとそうに違いない。
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人々の前に次々あらわれたコーヒーは、コーヒーポットプロトコルの実在を確信へと変えていった。 そして、まるで財団に客人として招かれたような感覚を味わった人々は、満足した表情で帰って行った。
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「これは決して口封じでもなければ、財団からのわいろでもない」
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人々の口々から出るコメント。 おみやげにドーナツが詰まった箱をぶら下げていた。 奇妙にも、実在した財団より日常の空間へと戻った者は一人として不満を漏らしていなかった。
影から一輪車にまたがり、財団の入り口を見守る者がいた。「特殊ダウンロード犯罪捜査課」(通称: 特ダ課)のスカラである。
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スカラのフルフェイスには、「奇妙」と縦書きで表示された。 直後、「奇」と「妙」の文字が、それぞれ点滅。回転しながら、左右へとフェイスの画面端へ消えていった。
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ジャバっと地より足を上げたスカラは一輪にまたがった。 スカラは、入り口の出入りの者に、気づかれぬよう姿をくらませた。
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『特ダ課 事件簿 〜 フリーソフト編』より抜粋
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本当に自由になったのはストールマンか?それとも我々か?我々って誰?そう、それはあなたと...
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