親戚の家にいくたび、いつまでお年玉が得られるかというチキンレースをする羽目になる
— 一億抜刀 (@toby_net) January 2, 2016
お年玉の法的受給資格に年齢は含まれているか要確認。そもそも受給権付与の基準は、どの法律に属するのか
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「何だと!お年玉受給資格証を忘れてきただと!? …いくらお前が親戚だとしても、こればかりはどうすることも出来ない。今年は諦めるんだな…」
「そ、そんな、おじさん!」
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一面白い景色の中ドアを叩く音が聞こえる。(ドンドン!ドンドン!)
「おじさーん、開けてくれ!」
「……」
「ここに来るまでに、貯金を全部使っちまったんだ!お年玉をくれーっ」
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丑三つ時も過ぎた頃、すでにか細くなっていたドアを叩く音が消えた。
「…しょうがないやつだ。こんな所で気を失ったら、死んでしまう。仕方ない。お年玉はやれんが…」
後から知ったが、おじさんは外で倒れていたあなたを運び、解放してくれていたのだった。
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窓からの日差しとともに、ジャバのなく声が耳に入った。(ジャバジャバ)
「もう朝か。ここは!?」
そうだった、昨日はおじさんの家の前でで……
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「おじさん、ありがとうございます。」
「…ゆっくりして行くといい。」
「あの、昨日は」
「お年玉はやれん…」
あなたの声をさえぎるように、おじさんは声をあらげ、話し出した
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「お世話になりました。それでは失礼します」
お言葉に甘え、昼飯を頂いたあと、しっかり帰りの旅費分を借りたあなたであった。
「待ちなさい。渡したいものがある。」
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おじさんは神妙な面持ちで話を続けた。
「このお年玉受給資格証をもっていきなさい。同世帯では利用できないが、一応使えるはずだ。私の親戚の地図もここにある」
「そんな、そこまでしてもらうわけには…」
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「いいんだ」とおじさんは言っていた。
何でも、半年前に家を飛び出したおじさんの娘の資格証なのだという。資格証の持ち主は、捜索願いもむなしく、まだ姿を見せていない。
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今月で紙くずになるものを持っていても仕方がない、というのだ。
お年玉の受給資格証をあなたに手渡そうとしたとき、おじさんは何かを忘れたがっているようだった。
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「今度こそ、失礼します。ありがとうございました」
あなたは深々と頭を下げ、企業のウェブサイトのような景色の中にとびだした。
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出掛けにふと、あなたは奇妙な足あとに気がついた。
「……(この、足あと。窓の前まで来て戻っていっている。それに、深さからして、数日前のものだ)」
おじさん、もしかした、娘さんは…
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しかし、おじさんに足あとのことを知らせると、受給資格証を返してくれと言われかねない。
あなたは、可能性をそっと胸にしまい、代わりに親戚の地図を取出し、ゆっくりと、企業サイト的な背景の中を歩きだしたのであった。
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『無料のお年玉』より
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