業務にみるジレンマ

「ジャバよ、主よ[1]、おゆるしください」 シックなネクタイと首の隙間を感じさせないその男は、懺悔していた。深夜のデスクは冷たい。暗闇にひかるディスプレイの明かりは男には、ひどく眩しく感じられた。 自己主張の激しい青色LED は、男の [1]: おそらくジャバの創造主

— メンター (@toby_net) January 24, 2016

「ああ、私はなんということをしてしまったのだ」 デスクにはまばらに青い光が広がっている。 自己主張の激しい青色LED が、男の脳を刺激したのだろうか。一人、嗚咽混じりにうなだれはじめた。

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「私はジャバスクリプトをダウンロードしてしまったのです」 自らの罪悪感に負けたように男は、カサカサになった唇と口をだらしなく開いた。さらに、閉じることのない複数の穴からは、数滴の液体が落下し、デスクの書類を汚した。

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「仕事とはいえ、ジャバ意外のプログラミング言語をダウンロード、あまつさえインストールしました。オッ、オッ、主よ…主よ」

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男の耳は自信のない猫のように折りたたまれていた。背丈は高いのか、膝がデスクの裏に張り付き、足先は曲げなければ座れないように見えた。

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「やむを得ませんでした。私はジャバではない、ジャバではない、と何度となく指摘したにも関わらず… 上司は私にジャバスクリプトをダウンロードしろと言ったのです」 「その後、上司はなんと言ったと思いますか!」興奮したのか男の耳が開く。

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「『あれはジャバではなかった。もう一度ダウンロードしてくれ』だと!?ふざけるな!」 もともと細い口を尖らせ上司のマネをはじめた男からは、懺悔とは思えない言葉が飛び出し始めていた。

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勢いで細い指で掴まれたマウスは、男の長い腕や指から見ればマウスに見えていた。 「業務命令だからと、私の罪は消えない」

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「オッ、オッ、ジャバ、ジャバ、オッオッ」 男は呪文のようなものを唱え、そっと備品のマウスを下ろした。怒りに任せマウスを投げたならば、また、罪悪感に襲われるに違いなかった。 これ以上、罪を重ねるわけにいかない。

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反道徳的なことをやらかしたと思い込んだ男は、ようやく席を立った。消えることのない認知を背負い、カードキーを入り口に差し込むと、帰宅の路へとついたのであった。

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『業務にみるジレンマ』より

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