「今日金曜だしさ、付き合えよ」
— toby_net (@toby_net) 2017年9月10日
「いえ、例の解読があるので…」
「お前、付き合いわるいよな。たまに手稿の解読休んだらどうなんだ?」
「いえ、先月分で、地球が今年滅ぶことが分かって」
「はは、分かったよ。じゃあ解読、頑張って」
— toby_net (@toby_net) 2017年9月10日
「では、また月曜日に」
「おい、助かる方法がわかったら、俺に一番に教えろよ。今度おごってやるからさ」
真顔でつぶやいた同僚の顔が、また砕けた表情に戻るの見て、今日はこれ以上誘われることはない、と一目散に帰宅した
— toby_net (@toby_net) 2017年9月10日
冷蔵庫を開け、ビールを取り出す。電子レンジから、焼き鳥の香りが漂う。チンという音。とりだしたトレーの半額シールが焦げて見えなくなっていた。
— toby_net (@toby_net) 2017年9月10日
散らかった部屋。座椅子にどっしと腰を下ろす。危ない。焼き鳥のタレがトレーから出かかっていた。
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トレーの端を舐めると少し温かく、濃いソースのような味がした。疲れ味覚がおかしいのかもしれないが、飲めば、変わらぬだろう。
— toby_net (@toby_net) 2017年9月10日
多数のコードが繋がれた紅い直方体。墓石というには横に長い。かんおけと呼ぶには小さかった。ちょうど、大きなノートパソコン。そう、3D モデリングをしても、不自然でないラップトップ・コンピュータ。
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計算が出来るならそうだろう。アプリさえ動けば、目の前の紅いモノはノートパソコンであったろうしかし、これは手稿であった。
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スッと、棚から別のラップトップ。そう、これこそまさにラップトップだ。負荷をかければ、ファンが回りだすようなノートパソコン。
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ゴアーッと冷却ファンらしからぬ音が聞こえた。火を入れたラップトップのファン制御は起動時には効かず、一瞬だけ全力で回りだしていた。
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ラップトップには、簡素な画面が見えていた。黒地に緑の文字色は1970年代の端末を思い出させる。
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> 接続
> 接続 先は
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> 接続 先は ジャバボタン
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決定ボタンを押下。
キーの押し上げ前には、紅い直方体は白く輝きだした。
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ちょうど、文字列をかたどるように白く光るその文字は、たしかに、「無料ジャバのダウンロード」と読める代物であった。
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『あなたとヴィオニッチ、今すぐデコード』 より抜粋
— toby_net (@toby_net) 2017年9月10日