「ゾンビ」を「無自我になった人間」に置き換え、「自我」を装填した発射装置により迎え撃つシューティングゲーム
— 小学ニ年生 別冊付録 (@toby_net) February 18, 2018
なお、無地我には感染性があり、世界中の村々が無自我の人間に襲われているという。なお、主要都市へは自我インプラント爆雷が投下された。人工的な自我を獲得、都市部のインフラ等は復旧の見通し。
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ダウンロード拳法を極めた者には無駄な動きがない。自作キーボードのキーにそっと触れるだけで、ジャバのダウンロードが始まる。
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ダウンロード拳法には、効率的な武具が必要不可欠。 相手に悟られるぬよう、無音のキースイッチ、マイクロスイッチを使う。
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その男、またの名を【無音のダ者】(サイレント・ダウンローダー)と言う。
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【無音のダ者】が訪れたのは、とある工場あとちであった。あちこちに、チープな社食のあとが散乱していた。
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ガチャリ。廃墟に音が響いた。社食の食器を踏んだようだ。その音を聞きつけてか、自我が失われた人間が駆けつける。
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元人間たちは【ムジガ】と呼ばれていた。自我が失われた人間らは最初こそ村々を襲っていたが、時期に対象がなくなると、廃墟などに住み着いていたのだ。
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無音のダ者、その男はムジガらに片腕を向けた。もう片方の腕で、くくりつけられた分割キーボードを無音で打鍵。
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ガシャコン、と男の腕から四角いディスクが射出された。音が鳴り終わる前に、ムジガ一体の無自我を粉砕した。
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男の腕は自我射出装置だった。過去には、ジップドライブと呼ばれていた物だ。
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「フー、一体だけか…」
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その男、【無音のダ者】は周囲の気配をうかがいながら、頭のフードを外した。
「まったく開発部の新兵器もいいが、音を出されては、無音のキーボードが台無しだ。」
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元は発掘されたジップドライブを利用した射出装置であるから、仕方のないことであった。
「その代わり、威力は抜群だな。」
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男は、自我を獲得した人間を背負うと、工場の跡をあとにした。
『無音のダ者』より抜粋
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