第一印象はどうだ? …フフフ、第四印象までこれが続くぞッ
— トビーネット (@toby_net) November 7, 2019
「第六印象、解!」
— トビーネット (@toby_net) November 7, 2019
「もう止めろ! それ以上やると、現実と印象が完全に乖離しちまうぞッ」
「第六印象が効かない… ここまでか」
— トビーネット (@toby_net) November 7, 2019
「ほう、その歳で六印象を解したか」
「……なに!?」
「気が付かなかったか? 今、あなたは常時、第三十二印象を目のあたりにしているのだ」
「三十二印象…バカな…」
— トビーネット (@toby_net) November 7, 2019
「…印象をただ解しただけでは、真の印象にはたどり着けぬ」
「…何だと?」
「みよ、これが森羅万印象だッ!」
つまり…
— トビーネット (@toby_net) November 7, 2019
「…何も感じない…先程までの印象や体験が何も当てにならない気がする」
— トビーネット (@toby_net) November 7, 2019
「そのとおりだ」
「…!?」
「森羅万印象を用いても、なんだかそんな気がするに過ぎない」
「…しかし印象程度では」
— トビーネット (@toby_net) November 7, 2019
「そんな事はない。何ごとも適度が肝心! 日常生活ならば、第三印象で敵なしであろう」
「…まだ、聞きたいことがある」
とつぜんの巨大な揺れがその場の者たちを襲った。
揺れは、太古の神殿をも揺るがす勢いだ。一つまた一つ、柱が崩れてゆく。 役割りは終えたといわんばかりの神殿の咆哮であった。
— トビーネット (@toby_net) November 7, 2019
柱があなたをおそう
— トビーネット (@toby_net) November 7, 2019
「ウワーッ!」
これまでか、と思った矢先、とっさに倒れる柱を支える者がいた。
「フフフ、三十ニ印象ならばこの程度たやすい」
「みよ! これが森羅万象印象の極意、無言実行!」
— トビーネット (@toby_net) November 7, 2019
高度な印象と実体が矛盾をかかえ、体中の穴という穴から光が漏れ出している
「もう止めてくれ! 印象が高次すぎるんだ! あんたの実体が無くなりかけている」
— トビーネット (@toby_net) November 7, 2019
「いけ!… いくのだ」
「…しかし」
「私は極意を極め、今まさにこの事を話してしまった。すでに無限実行の掟はやぶられたのだ」
これ以上、あなたは相手に話をさせるわけにはいかなかった。 森羅万印象の奥義、無限実行の力が残ってさえいれば、崩れる神殿を生きのびられると感じていたのだ。
— トビーネット (@toby_net) November 7, 2019
無言で立ち去ろうとするあなた。ほんの一瞬、いや、数秒はあったに違いない、迷いから思わず振り返る。そこには、フロア全体の支柱を支えていたフードの者が、ニヤリと笑っていた。
— トビーネット (@toby_net) November 7, 2019
もはやフードからは実体は感じとれない。そんな中、片手を空け、無言でポケットから棒をとりだすと、あなたの元へと転がした。
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「こ、これはジャバボタン!」
— トビーネット (@toby_net) November 7, 2019
フードの者は何も言わなかった。そして、崩壊した支柱が折れ曲がる中へ消えていった。
すでに、神殿全体を支える支柱ない。一刻をあらそう。
数日後。
— トビーネット (@toby_net) November 7, 2019
あなたは、遺品のジャバボタンを眺めていた。あなたはもはや、その細長いボタンを実体としてとらえるだけでなかった。 単なる一見した印象をも受け入れていた。
あなたの枯れた涙と引き換えに、押下されたボタンは何度でもジャバジャバとあなたに答えていた。ジャバ音が部屋に、まるで大聖堂のように、何度も響くのであった。
— トビーネット (@toby_net) November 7, 2019
『人は第九印象が一割』より抜粋
— トビーネット (@toby_net) November 7, 2019