この時期になるとバイト募集のハガキが届く。 箱を蹴る仕事だ。 コンベアで流れてくる「何か」を次々に凹ませていく。「おいそこ!壊すなッ! 」上司の怒号が飛び交う。
— トビーネット (@toby_net) December 4, 2020
上司はアメとムチを使い分ける。「お客さまを納得させる見事な箱蹴りだ。検品が通らなくてもくじけるな!」。 今はバイトだが、ゆくゆくは箱蹴りマイスターとして独立していきたい。
— トビーネット (@toby_net) December 4, 2020
先輩らが箱蹴りマイスターとして、自立していく中、焦りがつどう。 このままバイトとして箱とたわむれていていいのだろうか? ……その裏では DARAPA 研究所による「蹴られ済みダンボール」の開発が進んでいた ーー
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その後数年、 DARAPA 研究所による「蹴り済みダンボール」の話は聞かなくなった。 開発していた会社も売却されたらしい。
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数年の時を経て、ついに巣立つときが来た。箱蹴りマイスターとしての腕(脚)は十分。請け負う通販サイトも複数確保していた。 所属していたエックスストアーの上司からは、はげましの怒号を頂いた。
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独立のための書類作業は慣れない。士業の知人がいれば、とため息をついた。 さてと、昼休憩の最中、おどろくべきニュースが飛び込んできた。
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「蹴り済みダンボール」発売のプレスリリースがタイムラインに流れてきたのだ!開発したのは Bosstown Dynamics。 DARAPA研究所は国内の大手ハードバンク社へ開発会社を売却していたのだった。
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プレスリリースを見たあなたの手からは、無料ダウンロードと描かれた棒が転がっていた。
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紅い棒は床に落ち、真っ二つに割れた。 まるであなたの心境を表しているようだった。
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『連続紅い箱蹴り事件』ー プロローグ ー より抜粋
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