互換性のある幸福の壺

「この壺を玄関におくと、みるみる金運がアップします。」
「…そいういうのちょっと。」

セールスの男は周りを確認すると、小声で話しはじめた。

「(実は、この壺は Arduino互換でして…裏面にUSB端子が…)」
「まあ素晴らしい! これなら要らなくなったあとも、遊べますね!」

— 小学ニ年生 別冊付録 (@toby_net) January 23, 2018

不意に RESET スイッチを押されてしまった住人は、セールスの言われるがままに「壺(Arduino互換)」を購入していた。

— 小学ニ年生 別冊付録 (@toby_net) January 23, 2018

セールスは、セキュリティの薄い団地からさり際にほくそ笑む。

「まったく alienexpress で輸入した Arduion クローンが、1000倍の値で売れるのだから、辞められない商売だ」

— 小学ニ年生 別冊付録 (@toby_net) January 23, 2018

セールスはビシっとしたスーツを脱ぎながら、トイレでいつものフードをかぶった。端末をのぞく、セールス、いやフード。

「ジャバボタンの製造資金が貯まるまであと少しか…」

— 小学ニ年生 別冊付録 (@toby_net) January 23, 2018

「ジャバボタンも Arduion互換 として構成すれば、飽きたあとにも遊べるかもしれないな」と、フードはつぶやくも、信念を思い出すように、首を何度も横にふり、トイレを出ていくのであった。

— 小学ニ年生 別冊付録 (@toby_net) January 23, 2018

『互換性のある幸福の壺』より抜粋

— 小学ニ年生 別冊付録 (@toby_net) January 23, 2018

ジャバ名作劇場 に戻る