ジャバチャンプ

ジャバチャンプ

— 掘っ立て小屋ビルダー (@toby_net) 2017年1月13日

へいチャンプ、そんなハエの止まるようなパソコンで 開発環境が立ち上がるのか?

— 掘っ立て小屋ビルダー (@toby_net) 2017年1月13日

彼も、「世界」を目指していた時期があったんだ。

— 掘っ立て小屋ビルダー (@toby_net) 2017年1月13日

おい、やつと目を合わせるんじゃない。

— 掘っ立て小屋ビルダー (@toby_net) 2017年1月13日

今やどの端末でも、満足に動かないのさ。 やつの持ってる端末を見ろよ。21世紀のだぜ。

— 掘っ立て小屋ビルダー (@toby_net) 2017年1月13日

「ちょっとぐらい、話を聞いてやってもいいんじゃないのか?」
「おい、やめとけって…」

— 掘っ立て小屋ビルダー (@toby_net) 2017年1月13日

「Hi. 調子はどうよ」

フードの人間の横に、作業服の人間が座った。フードの猫背に対し、作業服の背筋はシャキッと伸びており、まるで背中に鉄定規を入れられているようであった。
また、フードの古ぼけた端末、ラップトップと呼びたくなるほどの、に対し、作業服は手ぶらに見えていた。

— 掘っ立て小屋ビルダー (@toby_net) 2017年1月13日

「おい、俺の声聞こえてるか?」
「…」
「なんだ、プロトコルが合ってないのか? 」

ジャバチャンプならジャバじゃないのかとつぶやき、首を傾げた作業服。左腕に右手を添えると何やらダイヤルを回す素振りを始めた。

— 掘っ立て小屋ビルダー (@toby_net) 2017年1月13日

「おい、聞こえてるだろ。おーい。チャンプ。」
「…ジャバ」
「!?… ジャバ」

フードからジャバプロトコルではなく、声によりジャバ音が発せられたため、作業服は一瞬戸惑ったが、即座に挨拶であると認識するとジャバ音で返礼した。

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「あー、あー、あなたとジャバ。聞こえる?」
「あなたとジャバ、今すぐダウンロード」
「おっ、やっぱり聞こえてんじゃん」
「ジャバ」

— 掘っ立て小屋ビルダー (@toby_net) 2017年1月13日

「最近どうよ」
「無料ダウンロードはこちら」
「ジャバか? いや俺は要らないんだ。」

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作業服とフードが話始める中、ビーッビーッと大きなブザーが辺りに鳴りひびき出した。
遠目で見ていたもう一人の作業服が、ベンチから立ち上がり、フードらに手を振った。

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「そろそろ時間切れだ。仕事にもどらないと」
「予備のオファーはいかかですか」
「…いや、また今度にしとくよ」

作業服はフードのそばを離れると、もう一人の作業服と合流した。

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「どうだった?」
「何が?」
「いや、おめえ、やつに決まってるだろ」

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「チャンプというよりエージェントだな」
「エージャバ?何だって?」
「エージェントだ。いうなら、『自立歩行ジャバインストーラー』ってとこ。」
「なんだそりゃあ」

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「ジャバをインストールして回る、オートボットさ」
「あの感じ、前世紀からずっとか?」
「だろうな。しかし、今じゃジャバインストールできる端末がないからな…」
「ボットも大変だな」

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二人の作業服が立ち去り、鳴っていたブザーが止んだ。
同時に、フードは猫背をただし、カタカタとラップトップに打ち込み始めた。

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「ふう、危なかった。とっさにジャバの真似事をしていなければ、今頃どうなっていたか…」

— 掘っ立て小屋ビルダー (@toby_net) 2017年1月13日

タイピングを止め「よし」と発声後ラップトップのフタを閉じたフード。そのままの勢いで、シャキッと立ちあがると、いそぐ足取りで公園を立ち去った。 立ち去る背中には、デューク、その下にかすれた「I'm the champion」の文字が刻まれいたのだった。

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『ジャバチャンプ』より抜粋

— 掘っ立て小屋ビルダー (@toby_net) 2017年1月13日

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