「ええっ、旦那が虫を殺せない? 彼はいつも殺してますよ、バグという虫をね。今もですよ。今日は遅くなるようです。」
— toby_net (@toby_net) 2017年8月27日
「旦那さんを少しお借りします。」 すばやく書き込んだテキストを送信。「彼」の妻へと打電した。 「彼」は安心し、ニヤリとすると、再び仕事の開発環境へと戻った。
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「ヤツ(同僚)の端末を借りておいてよかったな。このバグを潰せば、借りはチャラだ。」
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「彼」はバグをつぶしては、小まめに休憩を入れた。夜遅くテンションが上がっているとはいえ、気分転換は欠かさない。その度に、「彼」の妻へと打電する。
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「旦那さん、ため息ついていますよ。何かあったのですか。」 紅いボタンを押下。送信。
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バグをつぶしながらも、「彼」は妻の不満を聞き漏らさない。
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【あなたとジャバ!】
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突然に鳴るジャバ音。開けたガランとした職場に、珍妙な音声が響き渡る。
【今すぐ、今すぐ、今すぐ……】
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連発されるジャバ音(2)がまたもや、乾いた部屋を通過する。
ジャバ音の鳴る先には居たのは、深夜の来訪者だった。見慣れた顔だ。
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【今すぐ、今すぐ、今すぐ……】
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【「「今すぐ、ダウンロード!」」】
3つの声が重なった。
「よう! 例のバグとれた?」
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来訪者は同僚だ。いかにもサラリーマンスタイルな男は、紅いボタンを連打しながらも、部署の入り口から動かない。
「彼」は、ニカッとした表情で答えた。そして、同僚の端末を持ち主へと放り投げる。同時に同僚は、持っていた紅いボタンを彼へと投げた。
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2つの放物線が重なり合う。一方は端末、もう一つは紅いボタン。
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同僚は端末を受け取る間もなく「じゃ、お先に!」 といい消え去った。
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「彼」、つまりあなたはジャバボタンを受けとると、手のひらで回転させながら、腰のジャバボタン・ホルダーへと収納。
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ゆっくりと腰を下ろすと、残りのバグを片付けるため、戦場へと向かった。
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『いかにしてジャバはバグを減らせたか』より抜粋
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※ 2038年のジャバボタンは、回転させやすい形状のものが発売されている
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