黒いインストーラ

「予備のオファー、チェックボックスが露出しました!」
「予備のオファー確認!」
「予備のオファー迎撃態勢!」
「迎撃態勢!」

— ドーナツの穴 (@toby_net) 2017年4月8日

「予備のオファー、クリック着弾確認!」
「予備のオファー、クリック着弾!」
「だめです! 予備のオファーのチェックが外れません」
「…そんな馬鹿な」

— ドーナツの穴 (@toby_net) 2017年4月8日

「チェックボックスがオンのまま、ディスエイブルドされているようです」
「今までにこのような挙動は確認されていません」
「やはり、不正なインストーラだ。どこからか紛れ込んだに違いない」

— ドーナツの穴 (@toby_net) 2017年4月8日

「配布元に確認をとりました。予備のオファーがディスエイブルドになることはないとのことです」
「… プランNJ(ノットジャバ)に移行。インストーラ・プロセスをキルする。」
「…!?」
「キルしろ!今すぐにだ!」

— ドーナツの穴 (@toby_net) 2017年4月8日

オペレータが素早く、CTRL-SHIFT-ESC を押下すると、ユーザー確認が表示された。ボスは素早くマウスを動かすと、「はい」を押下した。端末は一つだが、マウスが二つ接続してあれば、このような作業は造作もないことだった。

— ドーナツの穴 (@toby_net) 2017年4月8日

「キルします!」
「キルだ」

目の前のインストーラは姿を変えない。むろん、それは予備のオファーもであった。直後、計算機室のホログラムが崩れ、黒字に緑色のフレームがあらわになっていた。

「どういうことだ!確認しろ」
「すみません。シェルを落としてしまいました!」

— ドーナツの穴 (@toby_net) 2017年4月8日

「ばかもの!」という声が響くと同時に、緑色のフレームは室内色をとりもどし、風景は計算機室然としていった。シェルによるホログラムシステムが再起動しはじめたのだ。

「シェルの自動再起動がなければ、今頃どうなっていた事か…」
「慌てるな。我々にはショートカットがある」

— ドーナツの穴 (@toby_net) 2017年4月8日

「お言葉ですが、ショートカットはシェルの…」

ボスがキッとにらむと、ボスに目を合わせていたオペレータはすぐに画面へと向かった。カタカタ、カチカチと同じ操作をすると、今度は無事に任務を果たした。

「インストーラをキルしました」
「キルを確認した」

— ドーナツの穴 (@toby_net) 2017年4月8日

「さきほどは怒って、済まなかった。休憩を入れよう」
「いえ、こちらこそ慌ててすみませんでした。以後、気をつけます」

— ドーナツの穴 (@toby_net) 2017年4月8日

オペレータはゆっくりと席をたつと、喫煙室へと足を向けた。
勤務室のドアを開けたのを確認したボスは、ふかく、そしてゆっくりとため息をついた。それは、安堵の溜息であった。

— ドーナツの穴 (@toby_net) 2017年4月8日

『黒いインストーラ』より抜粋

— ドーナツの穴 (@toby_net) 2017年4月8日

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