「くっくっくっ、やつの指紋はいただいた」
— トビーネット (@toby_net) June 2, 2020
「……ちょっと見てください。認証が通りません」
「何だと!」
「風呂上がりだったとか、季節の変わり目とか、登録して使えないままパスワード入力してたかでしょうか」
「ぬかった!」
「ではなぜやつは何故、指紋認証でロックを開けていたのだ」
— トビーネット (@toby_net) June 2, 2020
「モニタを見てください。」
「…毎回、指紋認証に失敗してロックを掛けられているのか」
「私も気が付きませんでした」
「採取したやつの指紋データに間違いはないのか」
— トビーネット (@toby_net) June 2, 2020
「……そろそろ、採取に使った大根も水っぽくなっています」
「急がなければ……」
「断面を見てください。 中はもうこんなに傷んでいます」
「よし、ならばパソコンの無料サポートセンター作戦だ」
— トビーネット (@toby_net) June 2, 2020
「スタッフがすでに架電しています。パスワードが暴かれるのも時間の問題でしょう」
≪📞こちら無料ダウンロードセンターです≫
「え? パスワード? 憶えてないんだ。 管理ソフトに入れていたんだが、その端末を無くしてね。」
≪📞 それでは無料ダウンロード対応はこちらでは難しいですね≫
— トビーネット (@toby_net) June 2, 2020
「参ったな。二段階認証も無くした端末に入れてある。どうしようもないな」
(モニタリング中の作戦室)
「今の聞いたか?」
「…無理ですね、これ」
「分かった。こうなったら、やつの端末をサポートセンターに送ろう」
— トビーネット (@toby_net) June 2, 2020
(一週間後)
「初期化しやがって!ふざけるな!! 有償で修理だったろ!!!機密情報もろとも飛ばしやがって!!!」
こうして、ターゲットの機密情報は守られ、中の猫画像もろとも完全に失われた。そうして時はながれ、組織が目的としていた無料ダウンロードライセンスは失効した。
— トビーネット (@toby_net) June 2, 2020
『バイオメトリクス印象』より抜粋
— トビーネット (@toby_net) June 2, 2020
(カバー裏イラストは、大根に必死に加湿クリームなどをぬるスタッフの姿)
— トビーネット (@toby_net) June 2, 2020