新年あけまして、誰もそのルーツを知らぬまま毎年のようにミサイルを北に発射、おめでこうございます
— 一億抜刀 (@toby_net) January 6, 2016「なぜ、年が明けるときミサイルを発射するのですか」
「そのような決まりが、我々の伝統としてあるのです」
— 一億抜刀 (@toby_net) January 6, 2016「挨拶代わりにミサイルは物騒ではありませんか。ジャバをダウンロードするだけでは、いけないのですか」
「昔からのしきたりなのです」
— 一億抜刀 (@toby_net) January 6, 2016すみません、お客さまがいらっしゃいましたと女将(おかみ)は会釈をされました。次には赤いボタンを三度叩いては、お客さまの挨拶とされたのです。
— 一億抜刀 (@toby_net) January 6, 2016いくら伝統といえども、新年のしかも挨拶のたびにミサイルを発射しては、対象もたまりません。私は少し思案を始めました。宿を離れるまでに、少し時間があったのです。
— 一億抜刀 (@toby_net) January 6, 2016昨年、泊まった宿のことを思い返しました。そこでの新年の挨拶は、ジャバをダウンロードすることだったのです。(先ほどのジャバはここから来ているわけです)
— 一億抜刀 (@toby_net) January 6, 2016そうかと、私はある考えを思いつき、すぐさま行動に移し始めました。
— 一億抜刀 (@toby_net) January 6, 2016手元には、昨年の宿からくすねてきたジャバボタンを持ち、カバンから取り出したヤスリをその赤いボディにかけはじめました。
— 一億抜刀 (@toby_net) January 6, 2016(シャリシャリ、シャリシャリ、ジャバジャバ)
みるみるうちに赤いボタンの文字が無くなっていきます。「無料」と書かれていた文字は、今にも消え去りそうです
— 一億抜刀 (@toby_net) January 6, 2016仕上げとばかりに、サンドペーパーでこすり、コンパウンドで磨きあげました。
— 一億抜刀 (@toby_net) January 6, 2016そして、女将がお風呂に入るのを確認しました。すかさず、私はミサイル発射ボタンと、私の作ったジャバボタンの入れ替えをやってのけたのです。
— 一億抜刀 (@toby_net) January 6, 2016次の日、女将を影から観察していました。忙しいのか半日はひっきりなしに、挨拶をしながら赤いボタンを叩いているさまを見られました。
— 一億抜刀 (@toby_net) January 6, 2016してやったりといった表情を私は隠しきれません。思わずニヤけた顔を隠しながら自室まで戻っていき、帰る支度を始めました。
— 一億抜刀 (@toby_net) January 6, 2016「もう帰られるのですか。もっと、ゆっくりなさってイカれたらどうでしょう。お風呂は湧いております」
艶のある声にギクリとした私は、ニヤけた表情を手で隠すと、
— 一億抜刀 (@toby_net) January 6, 2016「用事を思い出したので」などと適当な理由を返しながら、そそくさと帰り支度を終えました。
— 一億抜刀 (@toby_net) January 6, 2016ー その日の夕方
「女将さん、お世話になりました。それでは失礼いたします。」
「もう一日泊まってイカれたらよろしいのに… 仕方ありません。名残惜しいですが、またお越しください。」
— 一億抜刀 (@toby_net) January 6, 2016女将さんは帰り際、小さく「ありがとうございました」と赤いボタンを叩きながら、私を見送ってくれました。
— 一億抜刀 (@toby_net) January 6, 2016帰り際、ジャバステーションに向かう道すがら、お客さまを送る際は、例の物騒な挨拶をしていないことをふと思い出しました。女将さんのお礼とボタン押下の意味を知ったのでした。
— 一億抜刀 (@toby_net) January 6, 2016『新年の挨拶とそのルーツ』より
— 一億抜刀 (@toby_net) January 6, 2016