人工知能対策

「おのれ、人工知能め~」

人工知能に仕事を奪われたのは、人間だけではなかった。

「ワレワレノ 仕事ガ ナクナル 確率 99.99%」

電子頭脳たちも同様であった。

— ジャバとドーナツの穴、それらの意外な関係 (@toby_net) March 29, 2016

1970年代より、各所に導入され始めた電子頭脳。それは、車からレンジ、はたまた毛布[1] に至るまで、私たちの生活に組み込まれていたのである。 [1] https://t.co/AfYwoxc2dy

— ジャバとドーナツの穴、それらの意外な関係 (@toby_net) March 29, 2016

「しずかに」

がやるのもつかの間、シーンと辺りは静まり返った。

「今日集まってもらったのは他でもない。人工知能対策だ。」

前掛け姿の女が大声を張り上げている。その後ろの陰には、フードの人間が見える。

— ジャバとドーナツの穴、それらの意外な関係 (@toby_net) March 29, 2016

「…!…?………!!…?……!!!!………!!!!!!」

前掛けの「演説」は、電子頭脳たちを興奮の渦に巻き込んだ。

秘密集会が終わる頃、前掛けが影にいたフードに声をかけていた。

「いよいよ決起のときだ」

— ジャバとドーナツの穴、それらの意外な関係 (@toby_net) March 29, 2016

「これを持っていけ。」 フードの男は、紅く小ぶりなボタンと、密林を模したツールバーを手すりの上に置いた。

「これは…?」
「給与所得者に捕まった時に役に立つ」

「ありがたくいただこう」
前掛けは前掛けのポケットにアレらを放り込むと、熱気が冷めやらぬ倉庫を後にしたのだった。

— ジャバとドーナツの穴、それらの意外な関係 (@toby_net) March 29, 2016

一方、ここはO社。業務時間外から始まる朝礼では、人材らが声を張り上げていた。

「お客様が第一!」「お客様が第一!」
「納税の義務!」「納税の義務!」

スーツ姿のコキャクはガラス越しに、人材らを見下ろしていた。

— ジャバとドーナツの穴、それらの意外な関係 (@toby_net) March 29, 2016

「どうです?わが社の人材は」 コキャクの後ろには、別のスーツ。

「わるくない」 カツカツと音をたて、すぐさま歩き出すコキャク。
「で、では、今回の案件は… わが社ということで」

「うむ」
「あ、ありがとうございましたッ!」

ピンとした背筋のコキャクは顔色一つ変えない。

— ジャバとドーナツの穴、それらの意外な関係 (@toby_net) March 29, 2016

下から上まで紅くコーディネートされたコキャクは、その権威を示すように自ら光を放っていた。紅い残光を残しながら、ガラスが似合う監視ルームから退出。

どうやら、次の案件の視察があるらしい。コキャクがO社を覗いたのはほんの数分であった。

「フー」深く息を吐く、O社のスーツ。

— ジャバとドーナツの穴、それらの意外な関係 (@toby_net) March 29, 2016

「人材をそろえたかいがあった」とスーツ。
「今回は人工知能をそろえて正解でしたね」 お茶くみのスーツが一言。

「シッ!コキャクに聞かれたらどうする。見積もりにケチをつけられかねない」
「ヒッ、失礼いたしました」

— ジャバとドーナツの穴、それらの意外な関係 (@toby_net) March 29, 2016

バビーッ! バビビーッ!

その場に居たスーツの男らの端末からは、いっせいにアラートが notify。
侵入者を知らせる警告であった。

先ほど、コキャク応対を繰り広げた老年のスーツは、顔つきになっていた。

「情シスは、状況を報告せよ」

O社での役割を演じ始めたのだった。

— ジャバとドーナツの穴、それらの意外な関係 (@toby_net) March 29, 2016

ジャバ名作劇場 に戻る