原因が不明の原因不明

「あなたが5つあります。ジャバが3つあります。あといくつダウンロードすべきですか」 そういうと、フードを被った仙人は紅いボタンを差し出した。

— コメント欄 (@toby_net) November 18, 2015

「わたしは禅問答をしにきたのではない」 紅いボタンに目線を向けるあなた。フードを被った仙人が下に向けて手を開く。 すると、細い、そのプログラマーのような手からは、ジャバジャバっと直方体が溢れ出した。

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「いくつダウンロードすべきか。あなたの口から聞きたいのですが」 信じがたいのは、問答だけではなかった。 目の前にいるフードの男の手からは、次々にレゴブロックのようなものが溢れ出している。

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目的のジャバボタンが目の前に湧いている。 無限に増え続けるジャバボタンの一つでも手に入れば、新たな実績がアンロックされるはずなのだ。

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あなたは、原因不明の父のことを思い出していた。 ある日、仕事から帰ると、父は原因不明になっていた。 国中の医者に見せたが結局、原因は不明であった。原因が不明なため、ますます原因は不明になった。

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原因が不明の父の原因を明かす手がかりを探していたある日のこと。街のジャバ道場に通う青年に出会った。 「ジャバなら何とかなるかもしれない」 青年の話しにいつの間にかあなたは耳を傾けていた。

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「原因が不明なときは、再起動する。それでもダメなら、一度、ジャバを再インストールすればいい」 青年は次から次へと禅問答をまくし立てた。(今思えば、一方的な会話であり問答とも言い難い)

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「仙人にジャバボタンでももらえば、何とかなるかもね。いや冗談だよ……ハハハ」 冗談には思えなかった。わらにもすがる思いのあなた。「これしかない」と思わせるものが、「ジャバ」という語感にはあった。

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それから10年あまりの月日がたつ。目の前には念願のジャバボタンが、あふれている。 ゴクリと喉を ping した音が、Google DNS まで届いた。

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「あなたは4つ目ですね。残念ながら……」 信じがたい光景に、あなたは信じがたくなった。 「残念ながら、最後のジャバは3つ目のあなたに渡してしまったのです。」

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「ジャバの仙人だ」と当初、名乗った者からは、地獄のような事実を突きつけられた。 あまりにも原因不明の事態にあなたは原因不明になっていった。

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「あなたの父を覚えています。5つめのあなたでした。残念ながら、その時にはすでにジャバは……」 ジャバボタンとは一体何だったのか、とあなたは打ちひしがれた。

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街に戻り、翌朝、宿のベッドで目を覚ましたあなたは原因が不明になっていた。 そうか、とあなたは思った。父を苦しめていた(苦しんでいたのだろうか?)原因不明は、原因不明だったのだ。

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原因不明なら仕方がないと納得はしないものの、原因が不明なので原因不明を受け入れるしかなかった。 『原因が不明の原因不明』より

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